このブログでは、ストレチックス本部著書「70歳からのゆる~い筋トレ&ストレッチ」
執筆者が、本で書いたことの要点や、書ききれなかったことを、お伝えしていきます。
今回のテーマは「足腰を支える筋肉のストレッチ」です。
●足腰を支える腸腰筋と腰方形筋
腰は「要」という文字が使われているように人にとってとても重要な部分です。
背骨を重力に逆らい垂直に立てたことで腰痛を起こす運命になったと考えられることもあります。
その腰を守り、動かすために様々な筋肉がついています。
今回はどちらかというとメジャーな腸腰筋、そしてどちらかというとマイナーな腰方形筋について取り上げてみます。
身体の筋肉にはボコボコと割れて見える腹直筋や、立派な力こぶとして存在感を出す上腕二頭筋など、表層に目立つものがありますが、腸腰筋、腰方形筋とも深部でひっそりと背骨の動きのために働いています。
腸腰筋(大腰筋・小腰筋・腸骨筋)
大腰筋
起始:第12胸椎~第4腰椎までの椎体および椎体円盤
停止:大腿骨の小転子
腸骨筋
起始:腸骨の内側面
停止:大腿骨の小転子
主な働き:股関節の屈曲、外旋
腰方形筋
起始:腸骨稜、腸腰靭帯
停止:第12肋骨、第1腰椎~第4腰椎の肋骨突起
主な働き:腰椎の伸展、側屈、第12肋骨の下制
●腸腰筋の働きとストレッチ
▼腸腰筋は足と姿勢のための重要な筋肉
腸腰筋は大腰筋、小腰筋、腸骨筋という3つの筋肉で構成される呼び方です。
主な機能である股関節の屈曲は、太ももをお腹側に向かって持ち上げる動作です。
階段を上ったり、高さをまたいだりするときなどに足を持ち上げるときには腸腰筋をはじめとした股関節の前側にある筋肉が働きます。
高く持ち上げなくても歩くときに足が前に出る動きも屈曲の動きになります。
足が上がらなくならないように太ももを鍛えましょうというのはこの股関節の屈曲に働く筋肉を鍛えることが考えかたの1つとして世に出ていると思います。
腸腰筋は背骨の前側方向についていて、姿勢を保つために支えています。
人の骨盤の理想の傾きはやや前傾している状態をされていますが、それを保つためには前傾するための筋肉の働きが必要で、その役割をしている一つが腸腰筋です。
前側についている筋肉なので筋肉が収縮すると骨盤を前側に向かわせ、また付着している背骨も前側に引っ張る役割をします。
背骨はS字カーブになっていて腸腰筋が付着している腰椎は前側へのカーブがある形状をしています。
腸腰筋が適切に筋力を発揮していることでそのカーブが保たれて負担のない状態をつくっています。
この腸腰筋の筋力が弱くなり、働きにくくなってしまったらどうなるでしょうか。
筋肉は表と裏、前後というように対になって各筋肉がついていてバランスを保っています。
たとえばテントを張ると、本体を周囲から均等にテンションをつくることで崩れずに建てることができますが、どこかを強く引っ張り過ぎたり、弱すぎたりすれば傾いてしまいます。
人の骨格も似たところがあり、一方が強ければその方向に引っ張られてしまい、弱くなってしまえばそちら側から支える力がなくなって反対側に向かうことになります。
腸腰筋は背骨の前側にあるのでその働きが弱くなると前方向への支えが効かなくなり、背骨は後ろ方向へ倒れる力が優位になります。
そして骨盤を前傾に保つための機能が低下すれば後ろに傾く後傾に向かうことになります。
後傾が強くなると本来、理想の位置である前傾からはずれてしまうためその上に乗る背骨の配列も崩れてしまいます。
それが不良姿勢となり、スタイルや股関節の動きの悪さ、腰痛などの要因になることがあります。
▼反り腰の要因となりやすい腸腰筋のストレッチ
腸腰筋の役割は股関節の屈曲、骨盤を前傾に向けることで後傾になることを防ぐことでした。
しかし、腸腰筋のカタさ、筋肉の短縮が優位になることで生じるマイナスもあります。
骨盤の前傾が理想であってもそれが過剰では適切とはいえません。
骨盤が過剰に前傾をしてしまうことであらわれるのが腰椎のカーブが強くなった状態、いわゆる反り腰です。
反り腰になることで背筋も過緊張になる傾向があり、背中、腰部の筋肉のカタさとそれに伴い腰痛として感じる場合もあります。
腰が反っていることでそれをカバーするために背中の上側を丸めてバランスを取ろうとすれば反り腰で猫背という姿勢になります。
猫背を改善しようと背中を反ろうとしても腰部が反っていることが優位に働いてそれが負担になるパターンも考えられます。
骨盤の前傾、腰椎のカーブが強い傾向があれば、腸腰筋のカタさと短縮が要因の一つとなるのでストレッチで伸ばし、カタさをとることが対策になります。
伸ばして骨盤の前傾の優位を取り除きつつ、後傾側の筋肉であるお尻や腹筋の筋力をつけていくとよいと思います。
腸腰筋のストレッチ
●腰方形筋の動きとストレッチ
▼腰方形筋の働きとストレッチの方法
腰方形筋は、今日は「腰方形筋を鍛えよう」いうことが少なく(ほぼないと思います)、筋肉として大きくしようという注目がありません。
しかし、腰を守り支えるという点では大切です。
日常生活やスポーツで腰椎の安定感を高めるということで働いている筋肉です。
この筋肉が働いていることにより、たとえば筋力トレーニングの際に高重量のものを持ち上げることや、コンタクトスポーツで腰椎にかかる負荷から守ることができます。
安定感がなければ腰椎が過剰に動くことになり負担がかかることになります。
腰方形筋は骨盤と肋骨のあいだにあります。
機能としては腰椎の側屈、横方向に曲げる動きです。
たとえば椅子に座っているときに床にものを落としたとしましょう。
その時に上半身を横方向に曲げて腕を下に伸ばそうとするとき片側の腰方形筋は短くなり、反対側は伸ばされていることになります。
もちろん腰方形筋以外にも背中やお腹の筋肉も働きます。
座っているときに限らず、立位でも側屈の動きでは腰方形筋が使われています。
ラジオ体操などの脇腹を伸ばす運動ではストレッチがかかっています。
腰方形筋のストレッチ
▼腰の高さの違いは腰方形筋のカタさが一つ
腰方形筋のカタさ、短縮は付着している骨盤と肋骨のあいだの距離への影響があると考えられます。
骨盤の高さの違いが気になるときはこの筋肉のカタさが関連していることがあります。
これは付着部の一端である骨盤側が肋骨側に引き上がることで生じます。
この骨盤の引き上げを介して下につながる股関節を持ちあげるために筋肉でもあります。
股関節ごと引き上がることでそこから下の長さも変わってくるので膝や足首を変えながらバランスをとるようになってきます。
人の身体はそれまでのスポーツ歴による筋肉や関節の使い方や日常での動きの癖により特徴がでることがあります。
その一つが骨盤周囲にあらわれ、腰方形筋がカタくなっていると予想ができることがあります。
そして腰椎の動きに機能する筋肉なのでやはり腰痛にも関わるといえます。
身体を横に倒したときに突っ張って動きにくい、捻りにくいということがあればその他の筋肉とともに腰方形筋のカタさがあることが考えらます。
また、腰椎を後ろに反らす働きもあるため腰が片側だけ縮まっている、反ってカタくなっているという感覚が出やすくなるかもしれません。
腰痛を感じているわけでなくても腰を揉まれたらカタさを実感したという経験がある方もいるのではないでしょうか。
肋骨と骨盤のつながりは日常であまり意識をしないところかもしれませんがその間には筋肉があり腰椎という柱を支えています。
●つまずきやすさは腰回りからも起こっている?
高齢になるとつまずきやすくなった、歩く時に足が上がりにくくなったという訴えが出てきます。
足首にカタさやバランス感覚なども原因といえますが、足が上がるために必要なことの一つが重心移動です。
重心は上下、前後、左右へと移動しながら身体を安定させます。
片足を持ち上げるためには反対側の足への横方向への重心移動が必要です。
身体を右に傾けると右側に重心が移動するので右足に体重を乗せることができ、左足を持ち上げることができます。
反対に左足に重心を移すことができれば右足を持ち上げることができます。
では、それがうまくできなくなるとどうなるかといえば、重心が乗ったままの足は持ち上げにくくなります。
腰方形筋は身体を側屈させることなので、短縮してカタくなってしまうことで上半身の重さを移動させにくくしてしまうことが考えられます。
また、腸腰筋も股関節の屈曲方向のカタさに加え、側屈方向への短縮も起こると考えられています。
太ももを持ち上げる筋肉として知られているので持ち上がらない側の腸腰筋を鍛えましょうということを勧められ、それが有効ということもあります。
反対に、カタくなってしまい、反対側への重心移動を妨げている方を鍛えましょうということになってしまうことも考えられます。
筋肉の強い、弱いだけにならず、その筋力がどのように動きに影響しているかをみていくと思っていたことと反対だったということが出てきます。
足腰を鍛えることはよいことですが、どう鍛えるかが大切ということです。
●まとめ
足腰が弱くなったな…と感じることがあれば、足だけでも、腰だけでもなく身体のつながりを考えセットでストレッチやトレーニング、さらには身体全体の動きに発展していけるとよいと思います。
・腸腰筋は股関節の動きと姿勢を保つために使われる。
・腰方形筋は腰椎の側屈と安定に使われる。
・カタくなることで姿勢や歩行に影響することがある。
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ストレッチ専門店ストレチックス
https://stretchex.jp/
本部著書&公式ブログ 監修・執筆
本部研修トレーナー 渡辺 久進
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