このブログでは、ストレチックス本部著書「70歳からのゆる~い筋トレ&ストレッチ」執筆者が、本で書いたことの要点や、書ききれなかったことを、お伝えしていきます。
今回のテーマは「ホルモンと睡眠の関係」です。
●そもそもホルモンとは?役割と睡眠の関連
秋になり夜間は涼しく暑くて寝苦しいということは少なくなりました。
睡眠により影響を受けるものがホルモンです。
睡眠とホルモンの関連を見ていきたいと思います。
身体の機能を調節することに必要なホルモン。
ホルモンは脳下垂体、甲状腺、膵臓、副腎など、様々な器官から分泌される物質で、その多くは血液によって全身の組織や細胞に送り届けられ、必要な時間に、必要な量が分泌されます。
分泌量とともに身体に適切に作用するためにはタイミングやリズムも大切なものとされています。
ほとんどのホルモンが睡眠と体内時計の影響を受けて分泌が時間によって変動することがあり、日常の生活リズムに乱れがあるとホルモンの働きも乱れてしまうということです。
ホルモンの元の意味は、ギリシャ語の「呼び覚ます」という意味です。
病院の診療科では内分泌科がホルモンに関わる病気を扱うところです。
「内分泌」に対し「外分泌」というものありますが、唾液や涙のように身体の外側に放出されるものです。
「内分泌」は体内の細胞から物質が放出されて、血液によって運ばれて他の細胞に作用するというように内側で機能をします。
細菌やウイルスなど外からの異物や攻撃、環境の変化のストレスを各細胞や臓器に伝えて身体の機能を調節して維持をしようとする防御のためのシステムで、その際に働くものがホルモンです。
人間の身体には現在100種類以上のホルモンが確認されているそうです。
ホルモンは「ホメオスタシス」に欠かせない物質です。
ホメオスタシスとは体温や血圧を一体の状態に保とうする機能、恒常性を保つものです。
ホルモンの働きがなければ人間は恒常性を維持できなくなるため、適切な量が適切なタイミングで分泌されることが必要です。
多すぎる、少なすぎる場合は病気という可能性もあり、身体の不調がでる、パフォーマンスが上がらないといった要因となります。
すべてのホルモンはそれぞれの分泌するリズムを持っています。
目が覚めている覚醒時に分泌が増えるもののあれば、眠っているときに分泌が活発になるものもあります。
それが体内時計によってコントロールされているので、睡眠不足などが加わるとリズムも影響を受けます。
●子供にも大人にも大切な成長ホルモン
成長ホルモンは名前の通りとくに生まれてら思春期ごろまで身体を成長させるために働くホルモンです。
身体の発達が止まっても新陳代謝に重要なホルモンで、骨の代謝や筋肉の修復、皮膚を整える、脂肪を分解するといった役割があります。
成長ホルモンは睡眠前半のノンレム睡眠の時にピークに達するので、睡眠前半、22時~2時ごろは睡眠のゴールデンタイムとい呼ばれていることがあります。
成長ホルモンは脳の視床下部から分泌される成長ホルモン分泌ホルモンにより脳下垂体が刺激されることでその分泌が活発になります。
また、成長ホルモンの分泌を抑制するホルモンも存在し、量とタイミングを調節しています。
脳からのホルモンの他、胃で空腹感を起こすグレリンというホルモンも成長ホルモンの分泌を
刺激することがわかっています。
成長ホルモンの分泌を測定することで、入眠直後には急激に増加することがわかっています。
男女差があり、男性では入眠後の分泌がピークになりますが、女性では日中でも分泌が増加するタイミングが何度かあるそうです。
就寝時間が早かった、夜更かしをしてしまったなどの睡眠開始のタイミングの差は成長ホルモンの分泌にはあまり関連がないようです。
睡眠に入る時刻が遅くなったとしても、成長ホルモンの分泌パターンは睡眠開始、そして成長ホルモン分泌という流れになっています。
よって、睡眠前半の22時~2時頃が必ずゴールデンタイムとなるわけではなく、入眠時刻が遅くなればその分後ろに時間ずれてくるようになります。
特に深い睡眠、ノンレム睡眠のなかでも睡眠が深い段階で成長ホルモンの分泌が盛んになるタイミングです。
成長ホルモンの総分泌量は24時間を通してあまり変わることはないようですが、成長には夜に睡眠をとるほうがよいことがわかっています。
これは成長ホルモン分泌ホルモンが夜の方が活発になるからで、昼間の分泌は胃から生じるグレリンの影響が大きいとされます。
「寝る子は育つ」ということがいわれますが、ホルモンの面から見ると「夜、寝る子は育つ」ということが適切といえるようです。
子供では遅い時間まで学習塾があったり、就寝前にスマートフォンを使い入眠に影響したりすることがあるのではと考えられています。
大人では睡眠不足で肌の調子が悪いといったことは成長ホルモンの分泌の関連があるのです。
●目覚めと覚醒のコルチゾール
コルチゾールは筋肉ではタンパク質の分解を促進して、アミノ酸の血中の放出を促進、脂肪組織では中性脂肪の分解を促進するホルモンです。
これらの分解されたものは肝臓により糖をつくることに利用され、血糖値をあげることに機能します。
また、炎症によって起こる痛みや発熱を抑制、免疫抑制、細胞抑制といった機能があり、コルチゾールを元にしたステロイド薬は病気の治療に使用されています。
睡眠から目覚める、覚醒するときに分泌量がピークになります。
腎臓の近くにある副腎の表面、副腎皮質から分泌されてストレスを受けたときに分泌量があがるので「ストレスホルモン」という呼ばれ方をします。
午前にかけて分泌量が増えて時間が経つにつれて少なくなっていきます。
夜、眠りについた後も減り続けて夜中には分泌はもっとも低くなります。
健康な人であれば分泌量は朝方に高くなり夜には低くなるので、朝、なかなか調子があがらないような場合はコルチゾールの影響があるのかもしれないという考えがあります。
特に睡眠不足の場合、体内時計の親時計にあたる部分の乱れが生じ、副腎への刺激が低下し分泌量やタイミングが乱れてしまうことになります。
朝のコルチゾールの分泌のピークが鈍くなり、朝の目覚めが悪く、午前中の調子が悪いことの要因の一つになります。
睡眠不足になると、低下するはずの夕方から夜の時間帯に分泌量があがってしまいます。
日中から夜にかけてコルチゾールの濃度が下がりきらなくという状態で、これはストレスホルモンの働きが強まりすぎることになり、身体にダメージを与えるということなります。
コルチゾールの過剰分泌が続くと、動脈硬化の進行や骨粗しょう症の悪化、免疫機能の低下、脳の海馬の神経細胞を破壊するなど、様々なダメージが生じます。
筋肉や脂肪の分解を促進するということであれば、ストレスで痩せてしまうのは影響があるのかもしれません。
身体にとっては必要なホルモンですが、過剰になってしまうのは有害なことがあると考えられています。
●睡眠中の血糖値とインスリン
インスリンは食事によって得た糖分を血中から細胞に渡す役割をするホルモンです。
膵臓から分泌されるホルモンで、グルコース(ブドウ糖)の代謝を調節して血糖値を一定に保つ働きをしています。
このインスリン分泌の低下や、インスリンの効き目が悪くなると糖が血液中に残ることになります。
食事をしたときにあがる血糖値ですが、眠っている間はどのように変化をするのでしょう。
人間が眠っている6~9時間のあいだは食事をすることができません。
絶食しているにも関わらず低血糖を起こさずにいるのは、夜間の睡眠中の血糖値は、日中よりも20%~30%増加をしているからです。
眠らずに横になったままの状態で絶食をしている場合では、血糖値は低下していきます。
眠っていて食べることをしていない状態でも血糖値を安定させるメカニズムがあるのです。
睡眠中の血糖値が増加するのは血中のグルコースを消費しないためですが、インスリンの分泌も関連しており、値を測定すると睡眠中はこのインスリンの分泌が低くなっていて、血糖値を下がる働きが弱くなっている影響があると考えられています。
また、成長ホルモンが血糖値を上昇させる働きがあるとされます。
筋肉や脂肪細胞がブドウ糖を取り込むのを減少させて、ブドウ糖を貯蓄している肝臓から血液中への放出を促進させています。
深いノンレム睡眠では成長ホルモンの分泌が促されるのでこの血糖値の上昇がみられるということです。
そして身体のなかで最もブドウ糖を消費している脳も関係をしています。
深いノンレム睡眠のときには脳でのブドウ糖の消費量が下がっている分、糖が余ってしまい、血糖値が高くなることがあります。
睡眠中は高血糖でよくないように思われますが、糖は身体を動かすためのエネルギー源であり、代謝にも必要なものです。
睡眠不足によって起こる、ホルモン分泌のリズムやタイミングの乱れや食欲が増加することに注意をしていくことが健康維持になると考えるとよいと思います。
●まとめ
身体の機能を調節するホルモンは他にも様々あります。
睡眠は健康に必要なもので、適切にとることができないとホルモンも適切に働くことができずに活動のパフォーマンスに影響します。
ホルモンの活動自体が目に見えるわけではないですが、何か調子が悪いといったときにはその働きがうまくいっていないときがあるのかもしれません。
睡眠があり、ホルモンの働きがあり、よい睡眠やホルモンの材料になるための食事や栄養や運動があるので、何か一つをやっておけば大丈夫ということにはなかなかなりません。
自分自身の体調、健康状態に目を向けておくことが元気に活動するために必要なのだと思います。
・睡眠が適切にとれることによりホルモンの働きも適切になる。
・ストレスの3強さが影響することでコルチゾールが不調の要因になってしまう。
・成長ホルモンの分泌を促すには入眠直後が大事。
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ストレッチ専門店ストレチックス
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本部著書&公式ブログ 監修・執筆
本部研修トレーナー 渡辺 久進
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