このブログでは、ストレチックス本部著書『70歳からのゆる〜い筋トレ&ストレッチ』でお伝えしきれなかった内容を、現場での知見をもとに、より分かりやすくお届けしています。
今回のテーマは、「動かない時間と身体の変化」です。
はじめに
座りっぱなしで身体はどうなる?40代・50代から増える「動かない時間」と身体の変化

「仕事中、気づいたら2時間ずっと座っていた」
「休日もソファでスマートフォンを見ている時間が長い」
「以前より立ち上がるときに身体が固まっている感じがする」
「運動はしているのに、身体がスッキリしない」
そんなことはありませんか?
現代人の身体を考えるうえで、運動不足とともに注目したいのが「座りっぱなし」です。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、成人は座位行動、つまり座りっぱなしの時間が長くなりすぎないよう注意することが推奨されています。
座ること自体が悪いわけではありません。
問題になるのは、「長時間ほとんど身体を動かさない」という生活になってしまうことです。
今回は、座りっぱなしの生活で身体にどのような変化が起こりやすいのか、そして40代・50代から意識したい身体の動かし方について考えてみましょう。
そもそも「座りっぱなし」とは?
座っている時間というと、デスクワークをイメージする人が多いかもしれません。
しかし、座って過ごしている時間は仕事中だけではありません。
朝食を食べる。
電車や車で通勤する。
会社でパソコンを使う。
昼食を食べる。
帰宅して夕食を食べる。
ソファでテレビを見る。
スマートフォンを見る。

こうして1日を振り返ると、想像以上に長い時間を座って過ごしている人もいるでしょう。
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、座位行動を「座位、半臥位および臥位におけるエネルギー消費量が1.5メッツ以下のすべての覚醒行動」としています。
過去の国民健康・栄養調査では、平日の総座位時間が8時間以上と回答した人が男性38%、女性33%だったことも紹介されています。
運動していても「座る時間」は別に考える
「私は週末に運動しているから大丈夫」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、
「運動しているか」
と
「長時間座りっぱなしになっていないか」
は分けて考える必要があります。
例えば朝に運動しても、その後仕事で何時間も座り続けることはあります。
厚生労働省のガイドでも、身体活動を増やすことに加えて、座りっぱなしの時間が長くなりすぎないよう注意することが示されています。
つまり、
「週に何回運動するか」
だけではなく、
「1日の中でどれくらい頻繁に身体を動かしているか」
にも目を向けたいところです。
長時間座ると「使わない動き」が増えていく
椅子に座っている姿勢を考えてみましょう。
股関節は曲がっています。
膝も曲がっています。
腕は身体の前側にあります。
パソコンを見ていれば、顔も正面あるいは少し下を向いています。
この状態では、

腕を大きく上げる
胸を開く
身体を大きくひねる
股関節を後ろへ伸ばす
大きな歩幅で歩く
深くしゃがむ
といった動作をほとんど行いません。
つまり座りっぱなしの問題を身体の動きという視点から考えると、
「座っていること」だけでなく、
「長時間、身体を大きく動かしていないこと」
にも注目する必要があります。
立ち上がった瞬間に身体が固まっていませんか?
長時間座った後に立ち上がったとき、
「身体が固まっている」
と感じることはありませんか?
すぐに歩き出せず、一度身体を伸ばしたくなる。
腰を伸ばしたくなる。
脚を動かしたくなる。
肩を回したくなる。
こうした感覚がある人は、普段どれくらい連続して座っているのか確認してみましょう。
仕事に集中すると、1~2時間ほとんど姿勢を変えていないこともあります。
身体をケアするというと、運動やストレッチの時間を新たに作ることばかり考えがちですが、
「座っている時間を途中で区切る」
という方法もあります。
30分ごとに一度「身体を動かす」という考え方
厚生労働省の身体活動・運動ガイドでは、長時間の座位行動をできる限り頻繁に中断することが紹介されており、例として30分ごとのブレイクも示されています。
だからといって、30分ごとに本格的な運動をする必要はありません。
例えば、
立って水を飲みに行く。
トイレへ行く。
コピーを取りに行く。
立った状態で少し伸びをする。
数十秒歩く。
肩を動かす。
これだけでも「座りっぱなし」は中断できます。
ポイントは、
「運動するか、何もしないか」
という二択にしないことです。
少し身体を動かすことも身体活動です。
座りっぱなしと肩こり
長時間のパソコン作業では、頭や腕を身体の前側に置いた姿勢が続きやすくなります。
その状態が長く続くと、首や肩周辺に負担を感じる人もいます。
肩こりが気になると、つい肩だけを揉みたくなります。
しかし、長時間座っている人の場合、
胸を開く
肩甲骨を動かす
腕を上げる
背中を動かす
といった動作そのものが少なくなっていることがあります。
そのため、肩だけに注目するのではなく、
「今日は上半身をどれくらい動かしただろう?」
という視点を持つことも大切です。
座りっぱなしと腰痛
腰痛が気になる人も、座っている時間を振り返ってみましょう。
特にデスクワークでは、長時間ほぼ同じ姿勢で過ごすことがあります。
腰だけでなく、
股関節
お尻
太もも
背中
なども動かす機会が少なくなります。
腰が気になるからといって、腰だけを揉んだり伸ばしたりするのではなく、立つ・歩く・股関節を動かすなど、全身の動きを増やすという考え方もあります。
なお、強い痛みやしびれ、力が入りにくい、症状が続くなどの場合は、自己判断で強いストレッチをせず医療機関へ相談してください。
「マッサージを受けてもまた戻る」と感じる理由を考える

疲れたときにマッサージを利用する人もいるでしょう。
身体をほぐしてもらうことでリラックスできる人もいます。
しかし、
「マッサージを受けた直後は楽なのに、仕事をするとまた気になる」
という場合は、その後の生活も確認してみましょう。
例えば翌日から、
8時間デスクワーク。
通勤も座る。
帰宅後もソファ。
という生活に戻れば、身体を大きく動かす機会は再び少なくなります。
これはマッサージが良い・悪いという話ではありません。
身体のケアを受けることと、普段の身体の使い方を見直すことは別の問題だからです。
整体へ行く前にも日常生活を振り返る
整体を探す人の中には、
「姿勢が気になる」
「身体のバランスが気になる」
「身体が動かしにくい」
といった悩みを持つ人もいるでしょう。
整体の考え方や施術内容は施設によって異なります。
ただ、どのような身体のケアを選択する場合でも、
「1日何時間くらい座っているのか」
「仕事中どれくらい身体を動かしているのか」
「歩く時間はどれくらいあるのか」
といった生活習慣を振り返ることは大切です。
身体の状態は、施術を受けている時間だけで決まるものではありません。
残りの時間をどう過ごしているかにも目を向けてみましょう。
ストレッチは「運動が苦手な人」にも取り入れやすい
身体を動かしたほうがいいと分かっていても、
「ジムは続かなかった」
「走るのは苦手」
「筋トレはハードルが高い」
という人もいます。
そんな人でも比較的取り入れやすい身体活動の一つがストレッチです。
厚生労働省のe-ヘルスネットでも、ストレッチングは意図的に筋や関節を伸ばす運動で、柔軟性を高めるのに有効とされています。
広い場所や特別な器具を必要としないため、自宅や職場でも取り入れやすいのが特徴です。
ただし、「痛いほど伸ばせばいい」というものではありません。
無理のない範囲で、呼吸をしながらゆっくり行いましょう。
ストレッチ専門店とストレッチジムという選択肢
ストレッチというと、
「自宅で一人でやるもの」
というイメージを持つ人もいるでしょう。
一方、現在はストレッチ専門店やストレッチジムなど、人のサポートを受けながら身体を伸ばしたり動かしたりするサービスもあります。
自分でストレッチをすると、
「どこを伸ばせばいいかわからない」
「いつも同じ場所しか伸ばしていない」
「身体が硬くてうまくできない」
と感じる人もいます。
そうした場合に専門的なサービスを調べるのも選択肢の一つです。
重要なのは名称ではなく、自分の目的とサービス内容が合っているかを確認することです。
「近くのストレッチ」を探すときに見るポイント
身体の硬さや運動不足が気になると、
「近くのストレッチ」
「近くの整体」
「近くのマッサージ」
「ストレッチ専門店」
「ストレッチジム」
などと検索することもあるでしょう。
その際、近さだけで判断する必要はありません。
例えば、
どんな方法で身体をケアするのか。
身体の状態を確認してもらえるのか。
自分の目的に合っているか。
どのくらいの時間行うのか。
料金や継続方法が分かりやすいか。
などを確認してみましょう。
「肩こりがあるからマッサージ」
「腰痛だから整体」
「身体が硬いからストレッチ」
と名称だけで決めるのではなく、自分が何を求めているのか整理することが大切です。
仕事中にできる「座りっぱなし対策」
忙しい人ほど、特別な運動時間を作ることだけを目標にすると続かないことがあります。
そこで仕事そのものを利用して身体を動かしてみましょう。
1.電話のときに立つ
電話やオンライン会議のうち、座る必要がない場面では立ってみる。
2.飲み物を取りに行く
手元に大きなボトルを置くのではなく、ときどき立って飲み物を取りに行く。
3.トイレのついでに少し歩く
遠回りできる環境なら、少しだけ歩く距離を増やす。
4.腕を上げる
座っていると腕を頭上へ上げる機会が少なくなります。立ったタイミングで無理のない範囲で伸びをします。
5.股関節を伸ばす
座位では股関節を曲げた状態が続きます。立ち上がって少し歩くだけでも姿勢が変わります。
こうした行動なら、「運動するぞ」と構えなくても日常生活に取り入れられます。
休日こそ「座りっぱなし」に注意
平日は仕事で座っているから、休日は身体を休めたい。
そう考える人も多いでしょう。
もちろん休息は必要です。
しかし、
朝からテレビ。
昼からスマートフォン。
午後は映画。
夜もソファ。
となれば、休日も身体を動かす時間がほとんどなくなります。
休むことと、まったく身体を動かさないことは同じではありません。
散歩をする。
買い物へ歩いて行く。
家事をする。
ストレッチをする。
こうした軽い活動を生活の中に入れる方法もあります。
厚生労働省の「アクティブガイド2023」でも、基本的な考え方として「今よりも少しでも多く身体を動かす」ことが示されています。
40代・50代は「運動時間」だけでなく「動かない時間」を見る
「週1回ジムに行っている」
「毎朝ストレッチをしている」
もちろん、こうした習慣は身体を動かす機会になります。
しかし、それだけでなく、
それ以外の時間にどれくらい座っているのか
も確認してみましょう。
1日の身体活動を考えるときは、
「今日は運動したか?」
だけではなく、
「今日は何時間も連続して座っていなかったか?」
「何回立ち上がったか?」
「どのくらい歩いたか?」
「身体をいろいろな方向へ動かしたか?」
という視点を持つことも重要です。
まとめ|「運動する」だけでなく「座り続けない」
身体のために何かを始めようとすると、
筋トレをする。
ウォーキングをする。
ストレッチをする。
ジムへ通う。
といった「運動を追加すること」を考えます。
もちろん、それらは身体を動かす大切な方法です。
しかし同時に、
今ある「動かない時間」を少し減らす
という考え方もあります。
30分~1時間座ったら一度立つ。
少し歩く。
腕を上げる。
肩を回す。
身体をひねる。
股関節を動かす。
特別な運動でなくても構いません。

肩こりや腰痛、身体の硬さが気になる人も、整体やマッサージ、ストレッチ専門店、ストレッチジムなどを探す前に、まず自分が1日のうち何時間座っているのか確認してみてはいかがでしょうか。
身体を動かすために「何を始めるか」だけでなく、
「座りっぱなしをどこで止めるか」
を考える。
それも40代・50代から身体を見直す一つのきっかけになります。
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