このブログでは、ストレチックス本部著書「70歳からのゆる~い筋トレ&ストレッチ」
執筆者が、本で書いたことの要点や、書ききれなかったことを、お伝えしていきます。
今回のテーマは「肩甲骨の存在を意識する」です。
●肩甲骨の存在
▼肩や腕を動かすための肩甲骨
肩甲骨の動きは日常でもスポーツでもとても大切なものです。
肩こりになったら肩甲骨を動かしましょう、肩甲骨から腕を動かすようにしましょうとアドバイスを受けたり書籍などで目にしたりしたことがあるかもしれません。
しかし背中にあり、目で見て動きを確認しにくい部分なので実際はどのように動いているかは個々の感覚の部分が大きいとも思います。
今回は肩甲骨の動きや筋肉の働きを見ていきたいと思います。
肩甲骨は四肢動物の肩帯を構成する一つである。
日本語では「かいがらぼね」「かいがね」ともいった。
(Wikipediaより)
この骨は人間特有のものではなく、四足の動物に存在する骨です。
人間は二足歩行で体が起き上がったので肩甲骨は背中側に垂直についているようになっていいますが、犬や猫、馬や象のような前足を持つ動物では前足の上、体の側面についているような骨格をしています。
「かいがらぼね」は「貝殻骨」。
実際のかたちは扁平で貝殻のような形状をしています。
「かいがね」は両肩の高くなっている部分を表しているそうです。
肩甲骨は「肩胛骨」とも書くことができ、「胛」が「かいがね」と読めるそうです。
解剖の経験のある先生がおっしゃるには、肩甲骨は薄く、下敷きのようにぺらぺらしていて光にかざすとうっすら光を通すとのことです。
がっちりした骨ではなく、軽くスムーズに動くようにできているからこそ私たちの腕が滑らかに動くようなっているのだと思います。
▼肋骨・鎖骨・肩甲骨のつながり
自分の体でもわかるものですが、肩甲骨は左右にあり、胴体の上側にある肋骨の背中側に載っています。
「載っている」というのは肩甲骨は肋骨と直に接し骨を連結させ関節をつくっているわけではないからです。
それでも肩や腕を動かすことに関連するのは体の表側にある鎖骨と接し、関節をつくっているためです。
肩幅を測定する際、肩の端から端までの距離を測ると思います。
ちょうどこの幅の端の部分が肩甲骨と鎖骨が接する部分で、「肩鎖関節」と呼ばれます。
そしてこの鎖骨が胸の中央の骨である胸骨という部分と接して関節をつくっています。
左右の鎖骨の間はくぼみになっていますがその部分が接する部分で「胸鎖関節」と呼ばれます。
鎖骨は肩甲骨と胸骨を結んでいることになります。
肩甲骨は肋骨とは骨同士でつながっていませんが、鎖骨を介して胴体と連結をしているのです。
たとえば肩をすくめるようにすると肩甲骨は上に向かって引き上がります。
そして鎖骨も上に向かって角度が変わります。
このような関連があるため肩甲骨の動きが悪くなれば鎖骨の動きも悪くなる、または肩甲骨の動きを鎖骨が動くことで補おうとするといったことが考えられます。
人の動きは一つの関節のみで行うわけではなく複数の関節やその動きに関わる筋肉の働きがあります。
また、一つの部分を良くしようとするのではなくどの部分を使ったらよく動くようになるかを考えていくと体全体の動きがつながり運動効率が良くなると思います。
▼肩甲骨の6つの動き
肩甲骨の動きは次のようなもの、動きの名称があります。
・挙上と下制
挙上は肩をすくめて首を短くする、または首を長くするといった動きです。
肩こりのときは首から肩にかけての筋肉がカタく緊張している状態ですが、これは肩が重力に逆らって上がっているようなことが多いです。
自分の意志ではなく筋肉が肩甲骨を引き上げている挙上の動きになっているといえます。
一方下制という動きは肩甲骨が頭から下方向に遠ざかる動きです。
なで肩といわれる、縦に落ちた肩の形状はこの下制のかたちが優位になっています。
・外転と内転
体を背中からみたとき背骨を中心に左右の肩甲骨が両側に位置しています。
背骨から肩甲骨が離れていくように体の前方向にいく動きを外転といいます。
遠くに腕を伸ばす時などはこの外転の動きがあることでより腕のリーチを長く使うことができます。
外転と対になる動きが内転です。
肩甲骨が背骨側に近づくように体の後ろ方向にいく動きで、肩を後ろに引く動きはこの内転をつかっています。
胸を張る、背中の筋力を使ってものを引き付けるような運動、ボートで両側のオールを使って漕ぐような動作で内転運動が起こっています。
・上方回旋と下方回旋
この2つの動きは腕を万歳するように上げる、または下げる動きで伴います。
肩甲骨は肋骨の上に載っていますがその上を回転するように動くことができます。
例えばシャンプーをしようと両手を頭の上に乗せるとき、頭を下げずに腕を持ち上げれば脇が開いて上がってきます。
このときに腕とともに肩甲骨は回旋運動が起こります。
外側から上に向かって回転していくような動作が上方回旋です。
反対に腕を下に下げるときは開いていた脇が閉じて腕が下に向かいます。
このとき上に向かっていた肩甲骨が下方向、内側に向かって回転して下がります。
この動作が下方回旋です。
関節動作の名称をわざわざ覚えることはありませんが、この肩甲骨の上げ下げ、外側内側への動き、上下方向への回旋が組み合わさって腕をあげたり回したりが可能になるのです。
●胴体と肩甲骨をつなぐ筋肉
肩甲骨は骨としては鎖骨を介して胴体と接していますが筋肉とつながり背骨や腕とつながっています。
・僧帽筋
背中の上側を覆う大きな筋肉です。
上部・中部・下部というように機能が分かれています。
僧帽筋の機能:肩甲骨の挙上・内転・下制・上方回旋
・肩甲挙筋
僧帽筋の下の層にあり、肩甲骨と首の骨である頸椎を結んでいます。
肩甲骨を上にあげる、挙上の役割があります。
肩甲挙筋の機能:肩甲骨の挙上・下方回旋
「首すじのコリ」として感じるのはこの2つの筋肉のカタさが要因の一つと考えられます。
・菱形筋
背骨と肩甲骨をつなぐひし形の筋肉です。
大菱形筋という大きなひし形、小菱形筋という細長いひし形の2つの筋肉があります。
左右の肩甲骨の間にあり、背骨を中心に両側に向かってつないでいます。
大きな僧帽筋の下の層にあります。
背骨側に肩甲骨を寄せる、内転の動き、「肩を後ろに引いて胸をはる」といった動きで使われています。
肩甲骨のあたりまでコリやだるさがあるという際はこの肩甲挙筋とともに菱形筋のカタさが影響することがあります。
デスクワークで椅子に座って前かがみになってしまうと頭が前に出てしまい背中の上側は丸まりやすくなります。
腕、肩が前に出ていしまうのを菱形筋がブレーキをかけているような状態になり、過緊張が起こります。
そして肩甲骨は下方向に回旋させる下方回旋の機能があります。
腕が上にあがりにくいといったときにも影響します。
肩甲骨の動きが悪くなることで肩の関節がそれを補うために動き、不具合を起こしてしまうことがあります。
肩甲骨を動かして筋肉への血流を促すようにしていきましょう。
菱形筋の機能:肩甲骨の内転・下方回旋
・前鋸筋
肋骨から肩甲骨にかけてついている筋肉です。
ノコギリの歯のようにギザギザのかたちについているので「鋸」という文字が使われています。
菱形筋の肩甲骨を背骨側に動かす役割に対して、背骨から遠ざけるように動く外転の機能があります。
カタくなってしまうと肩甲骨が後方に動きにくくなってしまい、歩く、走るなどの腕の振りを妨げます。
また、肩甲骨の上から下まで広くついている筋肉で、部分ごとに機能が分かれ上方回旋、下方回旋の動きにも働きます。
前鋸筋の機能:肩甲骨の外転・上方回旋・下方回旋
・小胸筋
肩甲骨の前側の部分から表側の肋骨についています。
胸の厚みをつくる大胸筋という筋肉の下の層にあります。
呼吸の際に肋骨と上に引き上げる役割をします。
しかしカタくなってしまうと肩甲骨が上に覆いかぶさるようになり、猫背になったり腕が上に上がりにくくなることがあります。
人によっては胸と肩の境目あたりに触れるとカタさや痛さを感じることがありますが、その位置が小胸筋です。
小胸筋:肩甲骨の下制・下方回旋・外転
ここまでが胴体と肩甲骨をつないで、肋骨上で動かすことに機能する筋肉です。
●肩甲骨と腕をつなぐ筋肉と働き
肩甲骨は腕の骨である上腕骨と連結して肩関節を構成しています。
肩関節を動かすことが大きな役割ですが、筋肉がカタくなったり縮まったりすることで肩甲骨と上腕骨の位置関係に影響します。
・三角筋
肩パットのように肩を覆っています。
前部、側部、後部というように機能が分かれています。
前部は肩甲骨についていませんが僧帽筋とともに腕と肩を動かす機能を持っています。
側面は肩甲骨の外側の部分から上腕骨につき、横方向に腕を持ち上げます。
肩甲骨の上方回旋が伴って動きます。
後部の筋肉は肩甲骨の後ろ側から上腕骨についていて腕を後ろ側に引く時に使います。
・回旋筋腱板(ローテーターカフ)
「腱板損傷」などの怪我がありますが、それにあたる筋肉のまとめた呼び名、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋という4つの筋肉の総称です。
ローテーターカフとも呼ばれます。
回旋というように、例えばボールを投げるさいに後ろに腕を回して、前に向かって腕を動かすというように、肩、腕を捻る動作をするときに肩甲骨と上腕骨をしっかりつないで制御するために機能しています。
腕を上げるときに痛い、後ろに回そうとすると痛い、引っかかって動かしにくいといった際にはこれらの筋肉が働きにくくなったことが一つの要因としても考えられます。
・上腕二頭筋
腕の前側、力こぶにあたる部分ですが肩甲骨から肘を越えて付着しています。
・上腕三頭筋
腕の後ろ側、「二の腕」と呼ばれる部分の筋肉で、上腕二頭筋と対になるように肩甲骨から肘を越えて付着しています
腕の理想的な位置は床に対して垂直になっている状態ですが、腕の筋肉が縮まってカタくなってしまうことで肩甲骨の位置をずらしてしまい、腕のラインも前後にずれてしまうことがあります。
・広背筋
背中の下半分を覆っている広い面積を持つ筋肉です。
主な役割は腕を後ろに動かすことですが、一部が肩甲骨に付着しています。
・大円筋
肩甲骨外側と上腕骨をつないでいます。
脇を締めるように腕を体側に近づけるような動作で使います。
●肩甲骨を動かす動的ストレッチ
日常では意識して肩甲骨を大きく動かすことは少ないのではないでしょうか。
スマートフォンやパソコンをたくさん使うと手先はよく動かしますがつながっている肩回りはなかなか動きません。
動かないことが定着するといざ動かしたときに滑らかな動作がしにくくなり、姿勢や肩こりなどにも影響します。
今回は動かしながら筋肉、関節の可動域を上げる動的ストレッチを紹介します。
どの部分がどのように動いているかを意識しながらチャレンジです。
・肩回しエクササイズ
両手を肩に乗せてゆっくり後ろに回す
肘で大きめの円を描くように動かす
左右の鎖骨の中央を広げ、肩甲骨を後ろに引くように意識
肩や腰の痛みが出ないように、10回程度
・8の字エクササイズ
両手を体の前で組んで前に伸ばし少し背中を丸める
左右に大きめの8の字を描くように動かす
動かしながら背中の伸びる位置が変わっていくように意識
肩や腰の痛みがないように、10回程度
・プルダウンエクササイズ
バスタオルなど、長めのタオルをもって上にあげる
頭の後ろ、首の下に向かって腕を下げる、タオルが緩まないようにする
肩を下げて首を長くするように意識
肩や腰に痛みがないように、10回程度
●まとめ
肩甲骨には上下、左右の動き、回旋動作がある。
胴体と肩甲骨、肩甲骨と腕をつなぐ筋肉が肩や腕を動かす。
姿勢や肩こりなどに影響するところ、意識的に動かしましょう。
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ストレッチ専門店ストレチックス
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本部著書&公式ブログ 監修・執筆
本部研修トレーナー 渡辺 久進
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