このブログでは、ストレチックス本部著書「70歳からのゆる~い筋トレ&ストレッチ」執筆者が、本で書いたことの要点や、書ききれなかったことを、お伝えしていきます。
今回のテーマは「水分補給を適切に」です。
●身体における水分の役割
人間の身体にとって水分が大切なのはよく知られていることです。
生物としても海から発生したものが陸に上がり、地上で生活するまでになったわけなので水があったからこその発展なのかもれません。
また水は人間だけでなく動物に植物にもなくてはならないものです。
夏場になりとにかく水分が必要な状況が訪れます。
人の身体の約60%は水分とされており、その水分は体液として細胞の内外に存在します。
体液は唾液や胃液などの消化液、血液などが含まれます。
これらは栄養の吸収を助けたり、必要な部分に酸素やエネルギー源を届けたりすることです
また、水分でわかりやすいのは汗です。
体内の水分で熱を逃がすことにより体温の調節をしています。
●水分の必要量はどれくらい?
大まかにみて、人は1日2.5L~3Lの水が身体から出ているとされています。
内訳としては尿で1L~1.5L、一回あたり200ml~400mlで5~7回程度が平均といわれます。
呼吸などで目には見えずに蒸発するような水分が1000ml、汗として発汗されるものを加えると2.5Lほどになります。
体水分は60%とありましたが、年齢や体格により差があります。
子供は体水分が多く70~80%、成人では60%、高齢になると50%程度とされています。
水分は筋肉中に貯めこまれています。
よって、同じ年齢でも筋肉量が多い男性の方が高い体水分は多い傾向があります。
また、体脂肪が多く筋肉量が少ないタイプでは貯蔵するタンクが小さいため体水分が少なくなります。
水と脂の関係になるので脂肪には貯められません。
その方の運動量や筋肉量は考慮されていませんが、1つの目安となる年齢別による必要水分量です。
1日あたり、体重に対しての算出法です。
22歳~54歳:体重kg×35ml
54歳~64歳:体重kg×30ml
65歳~ :体重kg×25ml
という目安が出ています。
45歳で体重60kgであれば60kg×35mlで2100ml、つまり2.1Lが必要水分量ということになります。
運動量が多くたくさん汗をかく生活を送っていればこの必要量以上に水分が必要になります。
必要水分量というと1日2Lの水を飲まなければと思うこともあるかもしれませんが、これは食事から摂取される水分を含めての量です。
野菜にはそこに含まれる水分があり、スープも水分を含む食事です。
食事からの水分摂取量は800ml~1000ml程度とされています。
食事内容や量、塩分が多い味付けなどによりその食事の水分量と自身が水分を欲する感覚は変わってくると思います。
食事とは別に、1L程度は水分をとるようにするとよいのではないでしょうか。
●水分補給のための身体の反応
▼なぜ、のどが渇くのか?
発汗や排尿によりもともとあった体水分の量よりも少なくなると身体は脱水状態になり水分を欲します。
また体液にはナトリウム(塩分)やマグネシウム、カリウム、カルシウムなどの電解質が溶けています。
筋肉や内臓など各器官を動かすためには微細な電気が必要で、その電気を通す役割を電解質がしています。
その電解質の濃度が高くるとそれを補正するために水分が必要になります。
塩辛いものを食べるとナトリウムなどの濃度が高くなるため水分をとることで一定にするように働きます。
体内の2%の水分が失われるとのどの渇きを感じるように口渇中枢が刺激されるといいます。
のどの渇きは体内の水分量と電解質の濃度を正常に保つために水が必要だというサインなのです。
今日は1L飲んだから飲まないということがないように、必要な水分は入れるようにしましょう。
▼体水分のバランスをとる浸透圧とは?
体内の電解質の濃度のバランスを保つために、浸透圧という仕組みがあります。
浸透圧とは2つの濃度が違う水が隣り合うときに、その濃度を一定に保とうとして水分が移動する力のことです。
細胞では、細胞の内側と外側で物質が移動していますが、体水分の電解質を一定にするためには水を移動させる力が必要で、そのときに浸透圧をつかっています。
隣り合った水の濃度が同じになるために濃度の低いほうの水が、濃度の高い水に引きこまれ浸透することでそれぞれが一定になります。
浸透圧が低いというのは濃度が低く水を引き込む力が弱い、高いというのは濃度が高く水を引き込む力が強いということです。
●電解質を補うための水分補給
体液は水分と電解質からできているので真水だけで補給をすると必要以上に体液が薄まることがあります。
失われた水分と電解質を補給するのにはスポーツドリンクのような飲料も状態に応じて利用しましょう。
様々な種類のものがありますが浸透圧の違いによりハイポトニック飲料。アイソトニック飲料にわけられそれぞれ特徴があります。
・ハイポトニック飲料
ハイポトニック飲料は体液よりも低い電解質、糖分を含む飲料で、経口補水液もこれにあたります。
胃や腸から素早く吸収されやすいため負担が少なく、運動中など迅速な水分補給が必要な場合に適しています。
浸透圧が低く失った水分を吸収されやすく、低カロリーなものが多いです。
・アイソトニック飲料
人間の体液と同等の浸透圧、電解質、糖分が同程度の飲料です。
ハイポトニック飲料よりもゆっくりと体内に吸収されます。
糖分が多いとされるため過剰に飲み過ぎないよう注意が促されていることもあります。
特に脱水症状ではなく、水分補給をするためには体液と同じ濃度のものが適しているということで身体が通常の状態のときに使えるものです。
塩分が多いものを食べたときに水分が必要だからと飲むのは身体の塩分濃度が過剰になり、反対に電解質のバランスを崩すことになります。
必要なシーンに合わせて使うようにしましょう。
●これは水分補給によい?悪い?
▼アルコールと水分補給
スポーツやお風呂、サウナでひと汗かいたあとにビールを一杯といったことはされていないでしょうか。
アルコール飲料は水分補給にならず、脱水を起こす唯一の飲み物、そして強い利尿作用があります。
アルコールを摂取すると肝臓でアセドアルデヒドという物質に分解されますが、その過程で水が必要で、体内の水を消費します。
ビールは特に利尿作用が強く、1L飲むと1.1Lの水分が失われるといいます。
1Lのビールとノンアルコールビールの摂取での尿量を比べるとアルコールを飲んだ場合の方が尿量が多いということが示されているそうです。
食事を食べずにアルコール摂取のみであれば水分が使われるので体重は減っていきます。
ただしそれは体内の水分が減った脱水症状なので適切に痩せたとはいえません。
お酒を飲むときには同時に多量の水分補給や水分、電解質を含むサラダや汁物もとるようにしましょう。
飲酒後にも水分補給をしっかり行うと二日酔いの予防にもなるといわれます。
▼カフェインと水分補給
コーヒーやお茶にはカフェインが含まれ、利用作用があります。
そのようなことでカフェイン入りの飲料は水分補給には適さないとされることが多いようです。
研究の1つでは健常者ではカフェインの含んだ飲料も水分補給に有用であるといった見解がでています。
それはカフェインの利尿作用は個人によって感受性が異なるということ、またカフェインには耐性がつきやすいといったことが理由です。
身体がカフェインの利尿作用に過剰に反応しなければそれを過度に気にする必要はないとされています。
ただし、脱水症状がある場合にはコーヒーやお茶よりも吸収がよいものを選択するようにして、嗜好品として食後の一杯や一息つく時に飲むようにしましょう。
また、欠食などがなく食事からの水分が適切にとれるようにしましょう。
▼水中毒に気をつけよう
最後に水中毒についてです。
水分補給には水をしっかり飲むことがすすめられますが、水だけをたくさん飲むと水中毒という病気の危険性があります。
もともとは精神疾患があった患者が5L~10Lもの水を飲んでしまうことにより起こる「希釈性ナトリウム血症」という症状をあらわしたものです。
水ばかり摂っていると体液が薄くなってしまい塩分濃度も薄まります。
それにより意識がもうろうとしたり、けいれんを起こしたりすることがあります。
人間の腎臓がもつ最大の利尿速度は毎分16mlとされており、1時間あたりでは960mlです。
1時間にそれ以上の水を飲むことで体液の希釈が起こるとされています。
スポーツでたくさん汗をかいたときには真水だけにならずハイポトニック飲料、アイソトニック飲料などを活用する、食事制限の代わりに水を大量に飲むといったことを避けるなど、身体への配慮が必要です。
●まとめ
身体を守る、機能を保つために水は大切な役割を担っています。
食事からとる水分と、それ以外でとる水分を合わせて2L~2.5Lなので、基本は食事をしっかりと食べて水分も電解質をとり、合間で水やお茶などをとることです。
暑く気温が高くなれば体力も消費して汗もかきやすくなります、
無理に冷たい飲み物にする必要はなく、飲みやすい温度のものを選択してよいという提案もされています。
のどが渇いたときにはすでに脱水がはじまっているともいわれますので無理に制限をせずに適した量をとるようにしていきましょう。
・身体の中の水分は体液として働いている。
・1日の必要水分量は食事からの水分と合わせて2L~2.5L。
・スポーツドリンクも活用して身体に合わせた水分補給をしましょう。
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ストレッチ専門店ストレチックス
https://stretchex.jp/
本部著書&公式ブログ 監修・執筆
本部研修トレーナー 渡辺 久進
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