このブログでは、ストレチックス本部著書「70歳からのゆる~い筋トレ&ストレッチ」
執筆者が、本で書いたことの要点や、書ききれなかったことを、お伝えしていきます。

今回のテーマは「疲労のメカニズム」です。

 

●日々の疲れをためないためにストレッチの習慣を。

 

ストレッチの効果としてよく知られている疲労回復。
疲れるから肩がこるのか、肩かこるから疲れるのか、どちらも正解で人それぞれだとは思います。
肩こり以外にも身体を使い過ぎた負担、動かさなすぎの疲労感は多くあります。
それを回復させるには血流をよくすることがやはり必要と考えられます。
筋肉を柔軟に動かし血流を促して老廃物を取り除きましょう。
また、ストレスのかかる環境で身体も気持ちも疲れているという時にも効果があるものです。
気が付かないうちに呼吸が浅くなったり、肩や背中に力が入ったままであれば交感神経が優位に働きやすい状況が続いています。
交感神経優位の状況から副交感神経に切り替えることができることを身体が忘れないように、心身のケアに有効です。

 

●日本は疲労大国といわれている

 

疲労回復の方法はストレッチ以外にも、栄養のあるものを食べる、しっかり睡眠をとることなどの対策が考えられます。

では、人々はどれくらい疲れているのか?
疲労にについて調べたものに次のようなことがありました。
一般社団法人日本リカバリー協会は、一般社団法人日本疲労学会、株式会社ベネクスと共同で、2017年から全国10~14万人(男女各5~7万人)に対して行っている健康及び生活状況に関するインターネット大規模調査「ココロの体力測定」を実施しています。
その結果から「元気な人」、「疲れている人(低頻度)」、「疲れている人(高頻度))を抜粋し、「日本の疲労状況」としてまとめていました。

2017年の調査から2023年の推移をみると「元気な人」は2017年の24.2%、コロナ禍前の2019年は23.2%、2023年は18.2%と減少傾向。
疲れている人(低強度)、疲れている人(高強度)とも増加傾向にあり、疲労を感じている人が多いという結果が出ています。

日本は疲労大国といわれることがあります。
文部科学省が行った過去の調査においても常に何かしらの疲労を感じているということが報告されています。
人の身体は疲れるようにできていますが、それが過度になれば危うい状態になります。
その疲労を感じるのは身体でどのようなことが起こっているのかをみてみましょう。

 

●疲労物質といわれるもの

 

▼乳酸は疲労物質ではなくなった

 

疲労原因物質=乳酸という考え方は1929年の研究報告によるものとされます。
激しい運動後、筋肉内で乳酸量が上昇したという結果が発表され、それ以来疲労の原因が乳酸ということが受け入れられてきました。
乳酸が発生するのは人間が動くためのエネルギー生産システムにあります。
人間は体内に取り込んだ酸素を活用してエネルギーをつくり出し、それを使って動くことができます。
しかし、運動強度が上がると酸素の供給が追い付かなくなり体内は無酸素に近い状態になります。
そこで身体はあらかじめ貯蔵されている糖であるグリコーゲンをエネルギーに変換して酸素不足を補います。
その際にエネルギー変換の副産物としてつくり出されるのが乳酸であり、筋肉や血液中に発生するのです。
乳酸が疲労の犯人ということが続いていましたが、研究が進むにつれ運動の後、疲労感がピークに達している時点では、すでに乳酸は運動前の量に戻っていることが判明しました。
また、筋肉や血液中の乳酸量と運動パフォーマンスとには関連がないこともわかったのです。

 

▼乳酸はエネルギー源の一つ

 

では、体内に発生した乳酸はその後どのようになっているのでしょうか。
酸素を使ってエネルギーをつくる過程は酸化系エネルギー産生をいわれ、これはウォーキングやジョギングといった有酸素運動で使われるシステムです。
エネルギーをつくるミトコンドリアという細胞ですが、このミトコンドリアが発生した乳酸を再利用して新たにエネルギーをつくるということをしています。
つまり、乳酸は疲労物質ではなく身体を動かすためのエネルギー源の一つなのです。
ではなぜ疲労物質とされてしまったのでしょう。
以前の多くの研究では、すべての乳酸が酸化される前に運動が終わってしまって、血液中に残っていた乳酸をみて、これが疲労物質だと判断をしてしまっていたとされています。

乳酸が疲労物質ではないことをみる研究として、点滴で乳酸を注入しながら運動してもらうというときと、何も点滴をしないときを比べると、乳酸を注入したときのほうが長時間運動を続けることができたという結果がでています。
もしも乳酸が疲労物質であれば運動を続けることは難しくなり、運動能力の落ちるはずです。
このようなことから乳酸は大切なエネルギーの一つとされるのです。

 

▼活性酸素が身体を傷つける

 

疲労の原因の一つにあげられるものが活性酸素です。
酸素を使ってエネルギーをつくるシステムにも副産物があり、それが活性酸素です。
活性酸素は通常、細胞内に存在する抗酸化物質によって除去されるため、普通の活動量ではそれほど問題にはなりません。
ただ活動量が増えることで活性酸素の発生量も増加して、除去が追い付かなくなることが起こります。
過度な負荷を受けた器官の細胞内で、活性酸素が大量に発生し、細胞内を傷つけて機能が低下し、活動のパフォーマンスが低下します。
過度な負荷というのは運動だけでなく、ストレス、長時間労働といったオーバーワークも含まれます。
運動による負荷では筋肉や関節への影響、ストレスなど精神的な負荷の場合は脳や神経の細胞に影響があります。

疲労を実際に感じるには、細菌やウィルスと戦う役割をすることで知られている免疫細胞が関わっています。
免疫細胞が活性酸素によって傷ついた細胞を発見すると、脳に「細胞たちが疲れている」という伝達物質を送ります、
それを受けた脳がその細胞に「休め」という命令を出し、疲労感となって現れるというわけです。

疲労感、痛み、発熱という身体の反応は三大アラームといわれています。
だるさや頭が働かないという感覚は疲労のファーストサインといえます。
身体が休息を求めている、休むことが必要だという警告と心得ておきましょう。

 

▼疲れには種類の考え方

疲れ方にはいくつかの種類があります。

・抹消性疲労
身体的な疲労を抹消性疲労といいます。
例えばマラソンで長時間、身体を動かし続けるとエネルギーを消費し続けることになります。
エネルギーが枯渇して感じるものを指します。
部活やスポーツに取り組み、トレーニングや練習を重ねても身体がついて来ず、パフォーマンスが低下していく状態がオーバートレーニングです。
疲労が十分に回復しないまま続けることで運動中の集中力の欠如、身体の動きが悪いことにより怪我につながるリスクもあります。
運動後に安静時の心拍数や血圧に戻る時間が遅いといったことがあらわれることがあります。

・中枢性疲労
これはいわゆる精神的疲労、脳の疲労です。
緊張感があり、ミスができない環境での作業後に疲労を感じるといったことがあたります。
緊張感やストレスにより人間の脳は活発に働くことで脳内の酸素の消費量が増加します。
そこで活性酸素が発生し、処理が追い付かなくなったことで脳細胞はダメージを受けます。
適度な緊張感は脳を活発にパフォーマンスを上げることもありますが、過度な緊張やストレスは負担が大きくなるため作業の取り組み方や周囲の環境を見直すことが必要かもしれません。

疲労とは自覚症状があっても血液検査やエコー検査で異常がみられないものです。
薬などによる治療よりも自助努力によって改善できることを考えなければなりません。

疲労を起こす能力があれば疲労を回復させる能力も必要です。
疲労は活性酸素による細胞の損傷ですが、疲労回復とは傷ついた細胞が修復されることがあたります。
細胞の修復にはエネルギーが必要になるのですが、疲労を回復することなくオーバーワークが続くとそちらにエネルギーを回すことになり、細胞の修復作業が進みません。
傷ついた細胞が修復されないままさらに活性酸素が発生し、さらに細胞の損傷が起こり徐々に疲労が蓄積します。
蓄積が過多になれば回復させるが難しくなってしまうケースもあります。
そこまで行くと細胞の損傷はかなり進んでいる状態で、回復も容易ではありません。
疲労が長期化して回復が困難になる前に休息を入れることが重要なのです。

 

●疲れていても休まない、休めないことには注意

 

▼疲れていても眠れないのは・・・

 

身体には自律神経という人間の生命活動を維持するあらゆる器官をコントロールするものがあります。
全身に司令を出す役割があり体内でも疲れやすい器官とも考えられます。
自律神経は主に緊張、運動、覚醒機能をつかさどる交感神経と、休息、睡眠、安静をつかさどる副交感神経で構成され、両方のスイッチが切り替わることでバランスを保っています。
昼間は交感神経によって活動的になり、夜は副交感神経によって休息するというサイクルになっていますが、ストレスが多い環境や夜でも明るい光にさらされていると交感神経から副交感神経への切り替えがうまくできなくなります。
それにより昼間でも体は興奮状態になり、疲れていても眠れないという矛盾した事態が起こることになります。

そして交感神経優位の状態が長時間続くと、自律神経中枢自体の細胞にも疲労が蓄積して自律神経の機能が低下します。
自律神経の消耗により身体全体の器官のパフォーマンスにも影響してきます。

 

▼「疲労感なき疲労」のメカニズム

 

単純な作業やつまらない会議などは座っているだけでも疲れを感じやすいものです。
しかし、好きな趣味ややりがいのある仕事は疲れを感じにくいことがあります。
これには脳の前頭葉という部分が関わってきます。

人間にはやりがい、喜び、達成感などを感じるとやる気を起こさせる脳内物質であるドーパミン、幸福感をもたらすβエンドルフィンなどにより疲労を感じにくくさせます。
そして前頭葉が免疫細胞からの疲労伝達物質を覆い隠し、疲れを感じさせないようにしていき、休めという指令を出さなくなってしまいます。
本当は疲れていてもそれを認識できず、「疲労感なき疲労」「隠れ疲労」といった状態になるのです。

自分が頑張ることで物事がよくなるといったことが強くなると、長期的に疲労を蓄積してしまい過労といった状況に、また「〇〇さんが頑張って働いてくれると会社がよくなる」といった誉め言葉がモチベーションになることもあるかもしれませんが、実は労働を促すためのたくらみとして使われている環境も存在します。
自分の疲労を受け止めることも大切なことなのです。

 

●まとめ

疲労という暗い内容でしたが身体を守るために備わった機能で肉体的にも精神的にも現れるものです。
適切な休みはもちろん、いつもと違う疲れ方などがあれば医療機関に相談することも検討しましょう。

・疲労を蓄積させないようにストレッチを活用しましょう・
・活性酸素によって細胞が傷つき疲労を起こす原因になる。
・やりがいや達成感が疲労を感じさせないように働くことがある。

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ストレッチ専門店ストレチックス
https://stretchex.jp/

本部著書&公式ブログ 監修・執筆

本部研修トレーナー 渡辺 久進

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