このブログでは、ストレチックス本部著書「70歳からのゆる~い筋トレ&ストレッチ」執筆者が、本で書いたことの要点や、書ききれなかったことを、お伝えしていきます。
今回のテーマは「小さくても大切!小胸筋」です。

 

●小胸筋の機能

 

▼小胸筋とは

 

この筋肉名を耳にしたことはあるでしょうか?
「大胸筋(だいきょうきん)なら聞いたことがある」、「胸板の胸筋でしょ?」と返ってくるかと、いかにもつくられたような答えを考えてしまうものです。
大胸筋とは別物の筋肉で、機能も役割も異なります。
大胸筋はメジャーでボディメイクの筋力トレーニングでよく鍛えるところですが、小胸筋を鍛えようということを聞くことはほぼありません。
全体像は、肩甲骨の動きに関わる、肩、腕を動かす時に関わる、姿勢に関わる、呼吸に関わるといったものです。
小さくても大切な筋肉です。
小胸筋がどのように関連しているかを解説していきたいと思います。

 

▼小胸筋の機能

 

まずはどこについているか、とういうことから始めてみます。
大胸筋は胸板をつくる大きく、厚みの出る筋肉です。
小胸筋はこの大胸筋の下に重なっている筋肉で、ボリュームのあるサイズ感は出てきません。
起始:第3~5肋骨
停止:肩甲骨の烏口突起
烏口突起(うこうとっき)とは肩甲骨の一部分です。
図でみてイメージができればですが、背中側にある肩甲骨の端が、胸側に向かって少しだけ突き出ています。
烏(カラス)の口ばしのような形ということらしいです。
胸と肩の境目、鎖骨の外側の端の、下のところに向かっています。
小胸筋は肋骨と肩甲骨を結ぶ筋肉です。

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主な機能。
肩甲骨の下制。
肩甲骨を下に向かって下げていく動きに作用します。
肩甲骨の下方回旋。
腕を上にあげると肩甲骨は上方向に動きますが、その反対方向である下げる動きに働きます。
肩甲骨の外転。
背骨から肩甲骨が外側に向かって離れていく動きです。
外転により肩が前にいきます。
肋骨の挙上。
肩甲骨向かって肋骨を引き上げる作用を引き上げ、吸気を補助する作用があります。
肩甲骨に付着しているのでその動きに関わるものばかりですが、腕や肩を動かす機能がメインです。
ちなみに鳥類の翼は肩甲骨からつながり動かすようにできています。
人間が腕を動かすように大胸筋と小胸筋を使って動かしているそうです。
大胸筋は胸肉、小胸筋はささみにあたるそうです。
この小胸筋が日常の生活パターンで過剰に働く必要が出ることによって肩の動きや姿勢に気になる症状があらわれてくる傾向があります。

 

●小胸筋のカタさが影響すること

 

▼呼吸と小胸筋

 

小胸筋は肋骨の挙上という上に引き上げる機能を持っています。
イメージしにくいかもしれませんが、肋骨が小胸筋の筋力によって肩甲骨の烏口突起に向かって近づいていくという動きのことです。
この動きは意識的に小胸筋を使って行うのは難しいものです。
ではどのような際にこの動きを生じるかというと、人の生きるための活動である、呼吸です。
呼吸の吸気の際は空気が胸腔に入り広がり、吐く際には元のサイズに戻ります。
空気が肺に入るためには、肋骨の下部にある横隔膜の動きが重要です。
横隔膜が下に下がってお腹側に動くと肺の容量が広がることで、そこに空気が入り込みます。
横隔膜が柔軟に動いて深い呼吸ができればよいのですが、緊張や胸郭の形などでうまく働くことができない場合は胸腔を広げることが行いにくくなります。
無意識でも体の緊張状態が続いていたり、横隔膜の動きが悪くなっていたりすると呼吸のために小胸筋や首の周りの筋肉が働くことになります。
これらの筋肉は呼吸の補助のために働くのでメインとして使いたいものではありません。
小胸筋が悪さをしているわけではありませんが、過剰に使わなければなくなったことでカタくなってしまう影響があります。

 

▼姿勢と小胸筋

 

小胸筋は呼吸機能によりカタくなる点をあげましたが、日常の姿勢からカタくなっていく、またはカタくなることでその姿勢がつくられるということがあります。
小胸筋は肋骨を挙上させる役割がありますが、そこで固まってしまい肋骨が上に上がったままになるということはこの筋肉の影響は大きくないと思います。
反対に、肩甲骨が乗り上げるように前側に持ち上がったまま固まるということが見られることが多いです。
これは肩甲骨が肋骨に向かって近づいたという動きになります。
そしてこれの動きによって背中が丸くなって見えたり、首が短く見えたり、肩こりの一因になったり、肩の動きがスムーズでなくなったりと、体の不具合に影響をしていることがあります。
専門的な言い回しですが、肩甲骨が乗り上げるように前側に来ることを「肩甲骨の前傾」といいます。
肩甲骨の上側が前に向かって傾いた動き、体の前側に距離が近づきます。
小胸筋が付着している肩甲骨の烏口突起と肋骨の距離が狭くなっている状態なのです。
これが小胸筋がカタくなったことで生じたのか、背中を丸くしている癖によりカタくなっていったのかは人それぞれのことと思います。
しかし、姿勢としては猫背、肩と首の距離も近づいているので窮屈になり肩こりや首こりが起こりやすくなります。
肩こり、首こりの原因は姿勢が悪いことと感じていたり、他者から指摘されているようなことがあれば小胸筋を緩めていくことが改善の一つになるかもしれません。

 

▼肩の動きと小胸筋

 

肩の動きと小胸筋についてです。
小胸筋のカタさは肩甲骨を前傾させて背中を丸めやすくしていくとありました。
試しに肩甲骨を上に持ち上げ猫背気味にしてみると、やはり首や肩は苦しいものになります。
さらにその姿勢のまま、両腕を上に持ち上げてみましょう。
おそらく、腕は上がりにくくなると思います。
肩甲骨の前傾が強い状態では、腕と肩の動きがうまく使われにくくなっているのです。
腕を上に伸ばす動きのときは肩甲骨が前傾の反対方向、後傾といって背中側に向かって傾き、さらに背骨側に向かって寄っていく動きをします。
小胸筋のカタさは肩甲骨を前傾させること、肩甲骨の外転という背骨から離れていく動きが出てくるのでこの腕を動かす方向を止めてしまうことになります。
小胸筋を緩めていくことで腕の重さを感じていたものがすっきりするかもしれません。

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肩甲骨の前傾(右の側面)
背中の丸さとともに前に傾く

 

▼小胸筋症候群

 

小胸筋のカタさが原因で起こる症状に小胸筋症候群というものがあります。
過外転症候群ともいわれ、小胸筋により神経や血管が圧迫される疾患です。
その他の首周りの筋肉の圧迫により起こるものを含めて、胸郭出口症候群という症状に当てはまります。
頸部から鎖骨、小胸筋の下に腕神経叢、鎖骨下動脈が通っていますが、筋肉の緊張によってこれらが圧迫されることで、腕や手に痺れや痛み、だるさが生じるものです。
肩甲骨を支える筋力の低下や反対に胸の筋肉を過剰に鍛えることでカタさがあること、姿勢では、なで肩、猫背のタイプに多いといわれています。
日常生活では長時間のデスクワーク、長時間、腕を上げて作業をすることが多い方にも起こりやすいといわれています。
痛みや痺れる頻度が高い、長期間続いている方は専門の医療機関に相談し、適切な診断、治療、処置をしてもらうようにしましょう。

 

●簡単!小胸筋を緩めるエクササイズ

 

▼テニスボールで小胸筋を緩める

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肩と胸の境目あたりにテニスボールを当て、やさしく圧をかけながら転がします。
鎖骨に当たらないように気を付けます。
テニスボールがなければ指先で行ってみましょう。

 

▼小胸筋のストレッチ

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横向きに寝ます。
鎖骨と肩を背中側に引くようにして胸を開きます。
自然な呼吸で20秒程度、2~3セット行いましょう。
足やおしりが後ろに倒れないように注意しましょう。

日常で意識しにくい筋肉だと思いますが、姿勢や肩甲骨の動きにとても大切な部分です。

小さな筋肉ですがケアすべき筋肉と覚えておきましょう。

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ストレッチ専門店ストレチックス
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本部著書&公式ブログ 監修・執筆

本部研修トレーナー 渡辺 久進

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