このブログでは、ストレチックス本部著書「70歳からのゆる~い筋トレ&ストレッチ」執筆者が、本で書いたことの要点や、書ききれなかったことを、お伝えしていきます。

今回のテーマは「肩の動きの要、ローテーターカフ」です。

 

●肩専用の回旋の筋肉がある

 

▼ローテーターカフというインナーマッスル

 

ローテーターカフという聞きなれない部分かもしれません。
漢字で表現すると「回旋筋腱板」です。
これは肩の関節に付着する筋肉の呼び名です。
スポーツ選手が肩を痛めたとき腱板損傷といったことで時々聞いたことがある方、ご自身が肩の不調で医療機関で調べてもらったら腱板を痛めていると診断されたという方などはいらっしゃるでしょうか。

主に肩の関節を回旋する際に関節がストレスなく動くために働く筋肉です。
表層でボリュームのあるものではなく関節の近いところでつながっていて、インナーマッスルやローカルマッスルというカテゴリーで捉えられるものになります。
肩が自由自在に動くためにとても大切な部分です。
肩の動きは自由度が高く動きを分けるとややこしいですが、解説していきたいと思います。

 

▼肩関節の構造

 

肩関節は肩甲骨と上腕骨から構成されます。
骨と骨が合わさって関節、その周囲を骨同士の固定力を守る靭帯、関節包という組織などがあります。
関節を跨ぐようについてその骨を動かすように力を発揮するのが筋肉です。
筋肉が骨に付着する部分は腱というものになります。
上腕骨の端は球状のかたちをしてそれを肩甲骨が受け皿になってつくられる球関節という部類です。
球体なので一方向のみでなく、様々な方向に立体的に動くことができます。
それが自由度の高い関節ということであり、腕を上げたり後ろに回したり、ボールを投げたりすることが可能になっています。

その一方、極端な表現ですが、肩関節は外れやすいということがあります。
それは関節同士のはまり方が浅く、腕は肩甲骨からぶら下がっているような状態にあるからです。
同じ球関節に股関節があります。
股関節は大腿骨の一端が骨盤の寛骨という部分がつくるくぼみに深くはまり込んでいます。
自由度があると同時に立位で重さは載っても支えられるような構造をしています。

★肩関節は球関節

肩関節は深く覆いかぶさるようになっていないため、緩さも目立つ部分になっています。

 

●4つの筋肉、ローテーターカフ

 

▼肩関節の動きとローテーターカフ

 

画像にある通り、上腕骨は側方から肩甲骨に接続しています。
上腕骨の丸くなっている骨頭に比べると肩甲骨の受け皿部分はかなり小さくなっており、上腕骨を取り囲むような大きさはありません。
単純な考えですが、側方からついている骨を止めておくものがなければ上腕骨はそのまま下に落ちてしまうことになると思います。
そうならないために靭帯や筋肉がしっかりと支えて過剰な動きを止めているのです。
その中でローテーターカフは動きの中で関節を安定させる役割をします。

肩関節の安定性を高める4つの筋肉をまとめた呼び方です。

・棘上筋(きょくじょうきん)

・棘下筋(きょくかきん)

・小円筋(しょうえんきん)

・肩甲下筋(けんこうかきん)

これらが肩甲骨と上腕骨を結んでいます。
このローテーターカフのみの働きではないですが、肩関節には次のような関節運動があります。

前後の動き:屈曲と伸展

外側に広げる、内側に下げる:外転と内転

外側に捻る、内側に捻る:外旋と内旋

 

・棘上筋

棘上筋は肩甲骨の肩甲棘という部分の上側からついていて上腕骨を結んでいます。

起始:肩甲骨の棘上窩

停止:上腕骨の大結節上部・肩関節包

首と肩甲骨を結ぶ大きな僧帽筋に覆われている三角形の筋肉です。
肩関節の下方への脱臼を防止します。
ローテーターカフの中で最も損傷を受けやすいとされています。

主な働き

肩関節の外転(三角筋の協力筋)。

上腕骨を関節窩に引き寄せて、肩関節を安定させる。

 

・棘下筋

棘下筋は肩甲骨の肩甲棘という部分の下側についていて上腕骨を結んでいます。

起始:肩甲骨の棘下窩

停止:上腕骨の大結節後中部・肩関節包

肩甲棘の下方にある三角形の筋。

小円筋と同様、上腕を外旋させるときの主力筋。

ローテーターカフのなかでは棘上筋の次に損傷しやすい。

主な働き

上部:肩関節の外転、外旋

下部:肩関節の内転、外旋

 

・小円筋

小円筋は肩甲骨の外側から上腕骨をつないでいます。

起始:肩甲骨の外側縁

停止:肩関節の伸展、内転、外旋

棘下筋の下にある長い円錐状で断面は円形の筋肉。

 

・肩甲下筋

肩甲下筋は肋骨と肩甲骨の間から上腕骨を結んでいます。

起始:肩甲骨前面(肩甲骨窩)

停止:上腕骨の小結節、肩関節包

肩甲骨の肋骨面から起こる三角筋の多羽状筋で、肩甲骨と胸郭の間を走る。
広背筋、大円筋とともに肩関節を内旋させるときに働く筋。
ローテーターカフを構成する一つの筋として、肩関節の安定化に貢献している。

 

▼腕を上げる動きとローテーターカフ

 

ローテーターカフの機能は外転や外旋などがありますが、上腕骨と肩甲骨がバラバラに動かないように、安定して動くようにすることが重要な役割です。
腕を上にあげるといったことを例にとってその役割をみていきます。
図のように腕を上に持ち上げる動作を肩関節の外転といいます。

肩関節、肩甲骨に付着する筋肉が筋力を発揮することで腕が持ち上がります。
特に問題がなければ肩甲骨が下から上に向かって回転しながら持ち上がり、上腕骨は外側から上に向かっていきます。
この動き出しの、腕が持ち上がっていくときに棘上筋が働くことで上腕骨を肩甲骨にしっかりと引き付けます。

その後に肩関節を広く覆う三角筋や肩甲骨を動かすための僧帽筋といった筋肉が働きます。
ローテーターカフはインナーマッスル、関節の近いところにある筋肉でした。
三角筋や僧帽筋の様に表層にある筋肉はアウターマッスルと呼ばれます。
関節を跨ぐ距離が長いため、骨の動きも大きい運動になります。
大きな範囲で動き関節がぶれない様にするために棘上筋の引き付ける筋力が必要になってくるのです。
棘上筋は損傷をしやすいといわれる筋肉です。
その一つがインピンジメントといわれる、組織が挟み込まれる症状です。
何に挟まれてしまうかというと、自分の骨で自分の筋肉を挟んでしまうことが起こります。

棘上筋は肩甲骨と上腕骨の隙間を通る筋肉です。
肩をあげるように上腕骨を動かした際、筋肉が骨と骨に挟まれる、ぶつかってしまうということが生じることがあります。
これはスポーツでの肩の使用頻度の多さ、肩甲骨の動きの不具合などによって起こりやすくなります。
挟み込み、衝突が続くことにより筋肉を傷つけてしまうこともあるので痛みが強い方向の運動を控えることが必要です。
肩甲骨の位置のずれや猫背といった不良姿勢、負担のかかる腕の動かし方を改善することも肩を守るためには大切なことだと思います。

 

▼後ろに腕を回す動きとローテーターカフ

 

肩で動きにくさを感じやすい、時にはこの方向に動かすと痛いといったことを生じやすいのが腕を後ろに回す、結帯動作とういものです。
腰の方に向かって腕を回す後ろで帯を結ぶような動きを指します。

 

片腕は自然に動くものの、反対の腕は引っかかる、動くもののそれ以上はいかないといったことがわかりやすい動きです。
この動作では肩関節の内旋が滑らかに行えることが必要です。

ローテーターカフで内旋に働くのは肩甲下筋です。
そしてその周りには大きなアウターマッスルである大胸筋、広背筋、大円筋といった筋肉がついおり、これらも肩関節の内旋の機能を持っています。
多くの内旋に働く筋肉が共同してその動作を行いますが、強いアウターマッスルが優位なると適切な内旋動作が行いにくくなってきます。
この結帯動作による内旋不良で起こりやすいのは肩が前に向かって出っ張っていくようになり腕を後ろに持っていこうと思うと肩や腕の辺りに引っ掛かる、突っ張るようになることです。

前に向かってしまうというのが、関節に近い肩甲下筋の動きよりも、大胸筋や広背筋などで関節の動きが遠回りをしているようになっていることが考えらえます。
肩甲下筋は肩甲骨に近いところで上腕骨を動かしますが、前側のアウターマッスルの大胸筋は上腕骨を前側に向かって引き出す役割をします。
アウターマッスルが強く働きやすいこともありますが、肩甲下筋の働きが低下していると肩の動きが大回りになってしまうのです。
ローテーターカフの筋力がしっかりと働くこと、ボリュームがある大きい筋肉のように強い負荷で鍛えることはないですが、肩関節の動きに伴い動きを制御できる力が必要と思います。

 

▼巻き肩とローテーターカフ

 

不良姿勢の一つに巻き肩と呼ばれるものがあります。
これは肩が体の前方向、内側に向かって巻き込んでいるような状態のものをいいます。
主に肩の前方向に持っている大胸筋、内側に捻る内旋に機能する広背筋、そして肩甲下筋のカタさがその原因といわれることが多いようです。
アウターマッスルは肩を大回りさせる、ローテーターカフは肩関節を安定させるものと考えると、この場合、肩甲下筋は内旋のための筋肉ですがカタく縮まっているとうことには当てはまらないことがあります。
肩甲下筋がしっかり機能していれば肩は前側に突っ込んでくることはなく肩甲骨の近くで安定させるようになります。
その機能が不足しているから大きなアウターマッスルを優位に使ってしまうということが考えられます。
内側に巻かないために内側に捻る内旋の筋肉を使えるようにしましょうという、矛盾があるかもしれませんが、筋肉の働きを考えると当てはまることだと思います。(もちろん肩甲下筋がカタく動きにくくなっている場合もあることです)

 

▼ローテーターカフのエクササイズ

 

野球のピッチング、キャッチボール、テニスやゴルフのスイング、水泳など、腕を使うスポーツには適切に機能することが必ず必要です。
これらのようなスポーツでなくても、テーブルを拭く、シャツの袖に腕を通す、背中を掻く、髪を洗うなど腕を上げたり下げたり回したりという動作には働いている部分です。

肩を支点にしてテーブル拭き運動。
肩関節の内旋と外旋を使います。

肩の内旋方向へのストレッチ。
手の甲を腰のあたりに置きます。
反対側の手で腕を支えて内側に捻るようにします。
ゆっくり少しずつ前側に出すようにします。

 

今回ローテーターカフをテーマにしましたが肩の不具合にはこれだけでなく、アウターマッスルのカタさや肩関節につく靭帯などの組織がたくさん関わります。
運動での改善にチャレンジする方は参考にしてみてください。
動かすたびに痛みがある、肩や腕に力が入りにくいということがあれば医療機関でしっかりと調べてもらうようにしましょう。

 

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ストレッチ専門店ストレチックス
https://stretchex.jp/

本部著書&公式ブログ 監修・執筆

本部研修トレーナー 渡辺 久進

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