このブログでは、ストレチックス本部著書「70歳からのゆる~い筋トレ&ストレッチ」
執筆者が、本で書いたことの要点や、書ききれなかったことを、お伝えしていきます。
今回のテーマは「立位姿勢と腰痛」です。
●人は背骨を持つ脊椎動物である。
▼背骨は神経を守る管といえる。
人類、動物の進化についての研究者のかたが、人間の骨格のつくりと腰痛について見解を述べていました。
人間は腰痛を起こしやすい構造に進化してしまったということも興味深いことで、腰痛症状と合わせて紹介します。
地球上には様々な生物がいてその中で脊椎をもつ動物は脊椎動物と呼ばれます。
人間も脊椎動物の一員で、その他の動物とともに非常に繫栄してきました。
脊椎は身体を支えている骨であり、一般的には背骨、解剖学では脊柱と呼ばれています。
首の部分の頸椎、背中の上部にあたる胸椎、腰の部分にあたる腰椎、骨盤部分には仙骨、尾骨と続いています。
頸椎は7個、胸椎は12個、腰椎は5個で24個の椎骨という骨が積み重なってかたちをつくっています。
仙骨は骨盤の中心部、お尻の中央にありますが数個の椎骨が重なり、固定されて一つの骨として存在しています。
椎骨の後ろの部分は背中を触ると出っ張りがわかるように、椎弓と呼ばれるものが重なり合っています。
椎骨には椎孔という空間になっている部分があります。
この椎孔の中には脊髄という神経が通っています。
脊髄は神経なので身体を動かすために信号をやりとりする非常に重要なものです。
脳を合わせると中枢神経と呼ばれます。
脊髄は脊柱に、脳は頭蓋骨に守られています、
▼進化と脊柱の元々の役割は?
脊柱の進化は5億年前のことだと考えられています。
はじめは魚類で陸上での重力に抵抗することはなかったので、立つとか歩くとかのレベルでなかったわけです。
最初から陸に上がって人に進化する予定があったのか、なかったのかもわかりません。
その中で脊柱に限らず、骨の役割で重要なことは、ミネラルを貯蔵しておくことであったと考えられています。
脊柱は主な成分はリン酸カルシウムというものです。
身体を動かすために神経で情報を伝えたり、筋肉を動かしたりするためにはカルシウムが必要です。
常に身体を動かすことが出来なければ何かあったときに何もできずなので、そのためにはカルシウムが使える状態にしておくことがよいと、骨にカルシウムを貯蔵する役割を作り上げたのではないかとされます。
体内のカルシウムの99%は骨に含まれています。
必要に応じて骨からカルシウムを供給したり、骨に貯めこんだりして身体の各組織に送り届けているわけです。
▼立位になって脊柱の負担が増した。
身体を動かす機能面から見ていくと、魚類としての脊柱は泳ぐために活躍をしていました。
しっかりとした骨であれば筋肉がしっかりと付着され、泳ぐための筋力を出すことができ餌や適温の海水を求めて移動することが可能です。
そして陸上で垂直方向に立つ柱としての役割を持つようになります。
その間、爬虫類や四つ足の動物たち、陸を歩けて木登りができる猿人類になり直立二足歩行で生活をする人間という生物に進化をしていきました。
ただ真っすぐに立っている柱であればよいのでしょうが、私たちは立ったり座ったり歩いたり、前かがみになったりしながら生活をしています。
重力に抗うクッションの機能を得るために脊柱はS字カーブになりましたが、成長や日常生活や年齢を重ねていくことで脊柱にかかる負荷はなかなか避けられない状況にあるわけです。
繰り返しになりますが、頸椎7個、胸椎12個、腰椎5個が積み重なり脊柱が立ち、S字カーブを形成しています。
それぞれの椎体のあいだには椎間板と呼ばれるクッションの役割をするものがあります。
直立でなく、四本足の生活であれば椎間板に無理な圧力はかかりません。
しかし、真上から重力がかかることによって常に椎間板に圧力がかかっています。
各椎体のかたちは特徴があり、頸椎の1つ目、2つ目の頭に近い部分は厚みが薄かったり、首がよく回るようなかたちをしています。
腰にあたる腰椎は上部の重さを支える役割があるので大きいサイズです。
▼腰痛は人間の宿命なのか?
人間に近いチンパンジーの腰は被害は受けないのか?
似ている生物同士ですが、人間の腰椎が5個に対し、チンパンジーの腰椎は4個。
さらに骨盤のかたちが縦に長く、下の2個を両側面から押さえるような構造になっています。
その違いもあり、チンパンジーは腰椎を自由に動かしにくいかたちなのです。
人間の骨盤は横長で腰椎は自由に動かすことができます。
しかし、動く部分はいろいろな負荷を強いられる部分であるということです。
関節や骨格の構造もあるので、例えば肩はグルグルと回せるように自由度の高い関節です。
それを守るように関節の周囲に靭帯や動きを制御するために筋肉がついています。
腰椎も同様に、安全に動くためにはその周囲の筋肉が働いていなければなりません。
それは腹筋や背筋という系統の筋肉ですが、姿勢や呼吸機能の不具合によって衰えていくのです。
守るものがしっかり働かないまま本体だけが自由に動けば思わぬ動きに対処できずに痛みを生じることになるのです。
酷い腰痛が起こった際にコルセットをつけた経験がある方はお分かりだと思いすが、着用すると一応、腰が安定して動くことも何とかなる程度になります。
これは動いてしまうと痛みが出るから動かないようにさせておき、また自身の筋肉に加えてもう一層、守ってくれるものを加えてサポートがされるからです。
中腰のように中途半端にかがんだり丸まったりしているときは脊柱の支えが効いていない不安定な状態なので、重力がかかったり、頭や胴体の重さがかかったりすることで強い負荷が生じます。

直立二足歩行の人間だけが腰痛になるかはまだまだ研究を進めていろいろな成果がでてくるのではないでしょうか。
チンパンジーは腰椎が動かしにくいとありましたが、人間と違ってS字カーブにはなっていないそうです。
もしかりたら木や岩場から飛び降りたら着地の際に強い衝撃がかかっているのかもしれません。
四足でサバンナを走るチーターは最速時速100kmにもなるそうです。
たとえ四足でも脊柱をしならせて波打つように走っていれば脊柱への負担はあるのかもしれません。
犬でも脊柱を痛める症例もあります。
四足から進化した人間の脊柱はこの先どうなっていくのでしょう。
果たして、今後何億年とかけて進化をしていったとしても、脊椎動物である限り腰痛はつきものになるのでしょうか。
●腰椎の負担と腰痛
▼過剰な腰椎の前弯で起こる症状
直立二足歩行になった人間の脊柱はS字カーブを形成して重力に抵抗できるようになりました。
頸椎は前側にカーブしている前弯、胸椎は後ろにカーブの後弯、そして腰椎は前側にカーブする前弯です。
3つ合わせるとS字以上になっていますがこの弯曲が衝撃を吸収して身体にかかる負担を軽減させているのです。
ところがです。
衝撃吸収のために進化したこの脊柱、適切なカーブのかたちから逸脱してしまい身体の不具合を起こす一因にもなってしまうのです。
腰痛という面でみると、腰椎のカーブである前弯が過剰になる、過前弯と表現される形状になるパターンがあります。
これは前側に丸みのあるカーブの大きさが深くなった状態です。
そのようになる原因は四つん這いの赤ちゃんから立ち上がるまでの成長過程や子供時代の運動習慣や生活習慣、スポーツの特性、遺伝などがあげられます。
例えば赤ちゃんのハイハイは手足をあれこれ動かして進み、それが腹部や背部の筋肉の発達に関連し、四つん這いで脊柱の高さを安定させるために腹部の筋肉を活用します。
その期間、過程が長い短いといったことが立ち上がって成長していくなかで身体にあらわれるともいわれます。
バレエや新体操などの身体を大きく反らせるようなスポーツ、もちろん身体全体をつかい柔軟性も筋力もつくはずですが腰椎のカーブが大きくなる傾向があります。
腰椎の過前弯でもそれを自身でコントロールする筋力や可動性を持っているのであれば、問題は大きくない、なりにくいのではないかと思います。
しかし意図せずに過前弯が進んでしまうとそこには痛みが生じることがあります。
反っているかたちはいわゆる反り腰です。
そのようなときに考えるべきことの一つが筋肉の働きです。
筋肉は骨に付着し、筋肉の距離が短くなれば関節同士の距離を狭めます。
また、前後、左右と拮抗して骨格を支えているのでそれぞれの筋肉の強さ弱さのバランスがよいかで姿勢が変わります。
▼ストレッチ、トレーニングで前弯を軽減
腰椎過前弯ではまずは腰椎の前側には腹筋群、後ろ側には背筋群があります。
腰が後ろに反るのは背筋群の働きです。
よって過剰に緊張をしてカタくなっているのは腰椎の後ろ側の筋肉なので、その緊張やカタさを取ることが必要です。
一方、前側はその背筋に対抗ができず、前に大きくなったカーブを抑えることができません。
そこで前側にある腹筋群の活性化、過剰にカーブをつくらないように抑える力が必要です。
そして腰椎が載っている骨盤の傾きです。
腰椎の前弯と連動しているのは骨盤が前方向に傾いている前傾というポジションです。
この前傾と連動するのが骨盤が載っている股関節です。
そのため骨盤と股関節をつないでいる筋肉の働き方で腰椎が過前弯になりやすさに影響をします。
腰椎のカーブが大きくなる過前弯で緊張、短縮している主な筋肉。
・脊柱起立筋
・腸腰筋
・大腿直筋

・腸腰筋・大腿直筋のストレッチ
片足を前に踏み出して反対の足は後ろ側に伸ばします。
伸ばしている足側の腕を上に持ち上げてみぞおちから太ももの前側にかけて
伸ばします。
自然な呼吸で10~20秒。

・脊柱起立筋のストレッチ
椅子に座り、身体を前に傾けます。
お腹と太もも近づけて背中を丸めます。
自然な呼吸で10~20秒。

腰椎のカーブが大きくなる過前弯で弛緩、伸長している主な筋肉。
・腹直筋
・腹横筋
・大殿筋
・ハムストリング


・キャット
腹直筋・腹横筋の活性化
四つん這いになって背中を丸めてカーブをつくります。
呼吸をゆっくりと5~6回繰り返します。

・シングルレッグヒップリフト
大殿筋、ハムストリングのトレーニング
仰向けになって膝を立てます。
片足を上に持ち上げて固定します。
軸足で体を上に持ち上げます。
膝から胸までが一直線になるようにしましょう。
上下の動きを7~10回繰り返します。
片足できついときは両足をついて行いましょう。
腰が反らないように腹筋とお尻の筋肉で支えます。

緊張、短縮部位はストレッチ、弛緩、伸長部位は筋力を上げましょう。
▼腰椎分離症とすべり症
腰椎の過前弯、過前弯を起こしやすい運動や生活で起こるものが腰椎分離症です。
脊柱は椎骨という骨が重なっており、椎骨の後ろ側の椎弓が連結しています。
この連結が壊れてしまった状態、分離してしまった状態が腰椎分離症です。
スポーツの練習などで繰り返し腰を反らしたり回したりする動きにより生じるとされています。
分離症は10代から起こります。
部活の練習での蓄積など、一部への負担によるものです。
大人になって腰のレントゲンをとったら分離症が見つかって、中学時代に腰が痛かったことを思い出したといった人も中にはいます。
この分離症が進行すると腰椎すべり症が起こります。
分離した部分がずれていく症状です。
分離症を持ったまま強度の高い運動を続けたり、老化で骨や支える筋肉が弱くなり起こることが多いようです。

腰椎分離症
▼ヘルニアについて
腰痛症状で有名なものに椎間板ヘルニアがあります。
椎骨の椎体の間にある椎間板はゼリー状ですが、その一部が飛び出してしまう症状です。
その飛び出したものが神経に触れてしまうことで痛みやしびれを生じることがあり、状態によっては手術をするといった選択がとられます。
近年ではヘルニアをもっていない人は、ヘルニアをもっている人よりも少ないと考えられています。
症状が現れるのは、椎間板ヘルニアのほかに、神経の圧迫の強さ、不安やうつ、ストレスといったものが重なったときという研究結果があります。
精神的な部分が多くかかわることで慢性腰痛として長引かせることになるといわれます。
ヘルニアは自然に消失するとされています。
また、椎間板は水分量が多い部分なので体内の水分が少ない高齢者には起こりにくい症状です。
10代~40代の症例が多く、高齢では骨の弱さが影響する腰椎分離症、すべり症への注意が求められます。

腰椎椎間板ヘルニア
ヘルニアを起こさないために注意をしたいことが前かがみの姿勢です。
腰椎の本来の計上である、前弯でなくなっている状態です。
前かがみになると椎間板の前側が狭く、後ろ側が広くなり、後方に向かっ飛び出るといった状態になります。
腰椎前弯を含めて正しい姿勢をとっていれば痛みが軽減するといったこともあります。
●まとめ
私たち人間は直立二足歩行に進化をして自由に動く腰椎を獲得したことで腰痛を起こす確率が高くなりました。
さまざまなスポーツ文化を発展させて筋力の向上とともにハードな運動により腰部やそれ以外の部分にも負担を掛けることが起こり、それを解消するための医療も発展させました。
そして直立二足歩行を選択したものの、長時間デスクに座り、姿勢を崩していることが多くなり、不具合を訴えることもしばしばです。
そういったことが、運動、トレーニング、ストレッチで身体をこれからも長く使えるようにする気づきにもつながってきたのだと思います。
・進化の過程のなかで人間は腰痛を起こしやすい構造になったという見解があります。
・過度な腰椎は反り腰、腰椎分離症、すべり症に注意しましょう。
・前かがみになりすぎないなど、腰に負担のかかりにくい動きができるようにしましょう。
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本部著書&公式ブログ 監修・執筆
本部研修トレーナー 渡辺 久進
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