このブログでは、ストレチックス本部著書「70歳からのゆる~い筋トレ&ストレッチ」執筆者が、本で書いたことの要点や、書ききれなかったことを、お伝えしていきます。
今回のテーマは「ストレスには運動が役に立つ」です。
●ストレスの分類と反応
以前、同僚として一緒に働いた知人が困っておりました。
自分の上司はもともとの勤務シフトに関係なく、「やって欲しい業務があるから○時から出勤して」、休日とされていても「○○さんの都合で打ち合わせがあるから〇時にきて」といったことを平然といってくるとのこと。
断ったとしても「何時ならよいのか?何時までならよいのか?」と結局話が長くなるのでそのまま受けるけど、自分の生活を預かっているつもりのような、どう扱っても関係ないようにされストレスだと。
ストレスは本来、「圧力による物体のゆがみ」を意味する工学用語です
これを人間にあてはめ、「日常の中で起こる出来事から受ける刺激、それが圧力という「ストレッサー」、ストレッサーに対する心や体の反応。
この一連のメカニズムで「心身に過剰な負荷がかかってゆがみが生じること」をストレスと呼んでいるのです。
・生活環境ストレッサー
人間関係のトラブル、職場環境の変化など日常の出来事から受ける刺激。
・外傷性ストレッサー
災害や社会的な事件、事故などで受ける刺激。
自身の生命が脅かされている危機的状況や衝撃的な出来事。
・心理的ストレッサー
困難な状況に対応しようとすることで生じる悩みや「悪いことが起きるかもしれない」という否定的な予測など。
この同僚のストレスは職場で起こる生活環境ストレッサー、また仕事について何か手間がかかるかもしれないという心理的ストレッサーがあてはまりそうです。
また、今回の3つ以外にも分類のされ方はいくつかあるようです。
これらのストレッサーに遭遇すると、それが自ら対処できる出来事かどうかを判断します。
そして自分の対応能力を超える脅威であると感じたときにストレス反応があらわれるのです。
自身にかかる圧力に対し、どのように反応するかはそれぞれ。
ため息をついて終わる、その場で済んだら何もなかったことのようになる、持続的にかかるもので長い間、不安材料になるなど様々だと思います。
ストレス反応は緊張、気持ちの落ち込み、頭痛、腹痛、動悸、過度の怒りや拒食などのかたちであらわれます。
●ストレスはよいもの?悪いもの?
ストレスは人によって異なるとはいえ、さまざまな不調や異常を引き起こし、感じないように過ごせたらよいことと思います。
1998年、アメリカで「ストレスは悪いものではない」という研究報告がされています。
ストレスに対する考え方と死亡リスクの関係を調べたところ、スタンフォード大学の研究では「強度のストレスがある」と答えた人の死亡リスクは43%も高くなっていることがわかったそうです。
一方、「強度のストレスがある」ことに加え「ストレスは身体にとって必ずしも悪いものではない」と答えた人の死亡リスクは低くなっていました。
これは考え方の違いによってストレスから受ける影響も変わるということで、否定的に考える人の方が悪影響を受けやすくいと判断できるそうです。
反対に、肯定的にとらえる人は悪影響を受けにくく、病気にも強いということです。
悪いのはストレスそのものではなく、悪いものという考え方が健康に影響し、リスクも変化するともいわれています。
「ストレスはよいもの」と考え味方につけることが悪影響にならない一つの方法です。
アスリートのように「プレッシャーを力に変える」ということのように日常が過ごせればよいのですが、身の回りで起こる困難がすべてよいストレスになるとは限りません。
健康や暮らしに不利益をあたえ、実際に害をなるものには注意が必要です。
肉体的、経済的、社会的なダメージが伴うものはプラスにはなりません。
過剰労働が続けば病気など肉体的にダメージを受け、労働条件が大変にも関わらず低賃金であれば経済的なダメージがあり、それによって生活費のやりくりができなければ社会的なダメージも伴います。
ストレスと実害は別物なのですべてをよりよくなるための試練だとならないようにしましょう。
●ストレスと運動
▼運動が自律神経を安定させる
ストレスをよいものにするといってもそのものから逃れたいとうことも多いと思います。
その対策の一つが運動です。
カナダの研究で心臓疾患をもつ人たちにウォーキングや筋力トレーニングなどを積極的におこなわせるというものがあります。
一見、危険なようにも思えますが罹患した人たちは当時、仕事や子育てでストレスが多かったといいます。
心臓疾患を持つ人は健康な人よりも自律神経が興奮した状態になっていて、これはより多くのストレスがかかっていることを意味します。
その方たちが6か月間の運動プログラムを実施したあとに自律神経の状態を測定すると大きく波打った興奮状態の自律神経の波形は穏やかに変化していたといいます。
研究者によると運動は自律神経が興奮するのを阻止し、ストレスの暴走を抑えて脳や心臓などの臓器を守ることにつながるとされます。
運動によってマイナスになったケースなく、高齢者や何らかの病気を患っている人ほど高いそうです。
▼運動が脳の変化にプラスになる
マウスによる実験ですが、運動をすることにより脳の延髄という部分に変化が見られたといいます。
延髄は脳の一番下の部分で脊髄に続いています。
延髄の上部には恐怖や不安を感じる扁桃体という部分あります。
扁桃体から延髄、脊髄につながる経路があることで扁桃体からの情報が自律神経に伝わります。
延髄の神経細胞には突起がたくさんあり身体で起こる情報を伝える役割をしています。
運動をさせたマウスとしていないマウスを比較すると、運動をさせたマウスはその突起が減っているといいます。
突起が多いと延髄の神経細胞が扁桃体から受け取る情報が増えます。
その過剰な情報が自律神経に伝わり興奮状態をつくりストレス状態を亢進させることになります。
運動をすることで突起の数を減らし、過剰な情報のやり取りをする脳を変化させることが考えられています。
▼ストレッチ、軽い運動でも気分をすっきり
また脳の変化とは別ですが、運動によるストレス解消の効果は分泌されるホルモンにもあります。
軽い散歩を10分ほどするだけでも感情をコントロールしている脳内の神経物質が増加するといわれます。
例えばセロトニンというホルモンは気持ちを落ち着かせる効果があるといわれます。
ドーパミンというホルモンは達成感を感じさせる物質を放出していて、不安を和らげる効果が期待できます。
好きな音楽を聴きながらの運動、パートナーと一緒に身体を動かすことなどでストレスをかけているものから離れることができるかもしれません。
そしてストレッチがストレス解消に効果的という発信は多くあります。
ゆったりとしたストレッチは身体をリラックスさせる効果はもちろん、呼吸を整え行うことで気持ちをすっきりさせるといったことも期待できます。
深い呼吸は休息のための副交感神経を働かせます。
カタくてストレッチで痛いのがつらいという方は身体と相談しながら行いましょう。
★ゆっくり呼吸をしながら身体を伸ばしてみましょう
●自分の習慣や行動がストレスになっていませんか?
ストレスというと、やはり人間関係、職場環境、家族との日常などが多いかもしれませんが、自分自身の習慣や行動、身体に対してストレスを感じていることもあるかもしれません。
以下のようなことが思い当たれば一つの考え方として紹介します。
・暗いニュースを遠ざける
災害に関連するニュースなどでは「このあと○○の映像が流れます、気分が優れなくなる方は視聴をお控えください」といったことが事前に伝えられことがあります。
見ても平気だろうと思っていてもその時の災害以前のことを思い出したり、もし身の回りで起こってしまったらどうしようと考えたりしまうこともあるでしょう。
自分が思った以上に不安や恐怖を感じることでそれがストレスとして残るのであれば避けることも対処法です。
SNS上の批判する、批判し合うコメントなども同様です。
気分を害するもので目にする必要がないものは安易に触れない、画面を見る時間を制限するなど検討しましょう。
・体の違和感を自分の中で放置しない
病院に行くほどではないと感じる身体の変化は誰にでもあることと思います。
気になるできものや痛みがあったとしても「たぶん大丈夫だろう」と放置していないでしょうか。
しかし、不安を感じることは身体からの警告かもしれません。
それが悩みの一つなら医療機関での診断を受けてみることも一つの方法です。
何も問題がなければそれで安心感を得て気にしなくなるかもしれません。
また問題があったとしても、どれくらいでよくなるかがわかればポジティブに治療に向かえるかもしれません。
・自分に対する注目度はそれほど高くない
友人の誕生日を忘れたり、家族に心のないことを言ってしまったりして罪悪感を覚えたことはないでしょうか。
もし自身が気にしているなら謝罪を一言することで気持ちがすっきりすることもあります。
相手はそこまで気にしていないかもしれません。
それはそれでわざわざ謝ったのにと感じるかもしれませんが、他人は自分にそれほど深く関心を寄せていないものです。
自分に過度に注意を払い、他人も自分に注目していると錯覚しまいがちです。
・1週間の初めの日は楽しみな予定をいれる
「ブルーマンデー症候群」という言葉があります。
週末、特に日曜日の夜や月曜日の朝が近づいてくるとこれから来る仕事の締め切りや嫌な同僚のこと、満員電車での通勤といったことに対するストレスや心理的プレッシャー、不安が大きくなる現象のことです。
ネガティブな気持ちを和らげるために週末にリラックスでする時間を設ける、日曜日のうちに1週間の仕事の準備をしておいて先の負担を軽減するなどが解消法として考えられます。
また、月曜日に楽しめる予定を入れることもあげられます。
可能であれば仲の良い同僚とランチにいくことを定番にする、好きな習い事を入れるなどがあるとよいかもしれません。
●まとめ
・ストレスは考え方により良い影響にも悪い影響にもなる。
・ストレッチなど軽い運動によってもストレスの緩和させることが期待できる。
・周囲からのものだけでなく自身の習慣や行動、身体の状態がストレッサーにもなっていることがある。
ストレスに関する研究結果や解消策として提案されているものを紹介しました。
ストレスに対する反応も解消策も一人ひとり違うもので、専門的な知識をもっている方の助けを求めることが有効なこともあります。
適した対策をとり1日も早く解消できる方へ向かっていきましょう。
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ストレッチ専門店ストレチックス
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本部著書&公式ブログ 監修・執筆
本部研修トレーナー 渡辺 久進
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