このブログでは、ストレチックス本部著書「70歳からのゆる~い筋トレ&ストレッチ」執筆者が、本で書いたことの要点や、書ききれなかったことを、お伝えしていきます。

今回のテーマは「肝臓とアルコールの関係」です。

 

●肝臓が活躍する時期

 

11月の後半に入り、今年も終わりに近づいてきました。
そこで始まるものが忘年会。
そしてクリスマスやさらに先を見ればお正月。
お酒=アルコールを口にする機会が増える時期になると思います。
健康診断でもおなじみ、数値をみてお酒を少し控えましょうと指導をされた経験があるかたもいるのではないでしょうか。
アルコール摂取により忙しくなる臓器がが「肝臓」です。

肝臓は身体の右半身、肋骨の内側にある最も大きい内臓です。
成人で1.0~1.6kgの重さを持っています。
肝臓は常時500種類以上もの機能を同時にこなす、化学工場のようなものです。
肝臓が元気に働くことは他の臓器や器官にとって非常に重要なものなのです。

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「肝臓は沈黙の臓器である」といわれます。
それはよほど状態が悪くならないと自覚症状が現れないとされるからです。
それでも健康診断、人間ドックで肝臓の異常、測定値の基準値外ということで一番引っかかるものとされます。
また、肝臓を悪くするのは中年からというイメージですが、実際は男性の場合、30代から注意が必要といわれ、太りだしてくる年齢と肝機能が悪くなる年齢はほぼ一緒です。
検査をすると35歳以上の男性の30%以上に肝機能障害が見つかり、そのほとんどが肥満と関わる脂肪肝です。

 

●肝臓とは何をする臓器なのか?

 

▼栄養の代謝

 

代謝がよいというと汗をかきやすい、体温が高いなどが想像できますが、体内では摂取した栄養を分解し、合成し、それを必要なところに届けて身体を正常に働かせるために活用するといったことを指します。
肝臓においても消化、吸収され、運ばれたものが生命維持に必要な物質につくり変えられています。

食事からとるエネルギー源には炭水化物(糖質)、脂質、タンパク質という栄養素があります。
炭水化物は小腸でブドウ糖に分解されたのち、肝臓内でグリコーゲンに変換されて貯蔵されます。
そのグリコーゲンは筋肉を動かす燃料、車でいえばガソリンです。
肝臓が筋肉に供給をしています。

タンパク質は小腸でアミノ酸い分解され、肝臓内で身体に必要なタンパク質に合成され、筋肉や臓器などの材料になります。

脂肪は小腸で脂肪酸、グリセロールに分解されて肝臓内ではコレステロール、中性脂肪、リン脂質に合成され、細胞膜などの材料として利用されます。

口から食べて胃から腸にいきますが、その後は肝臓に入り体内で使いやすいかたちに代謝されるのです。

 

▼有害な物質の解毒

 

食事をすると食材からの栄養とともに身体に入ってくるものが、食品添加物や野菜に残った農薬などです。
身体に安全な範囲ではあると思いますが、有害なもという判断を身体はします。
そのような物質を無害な物質に変化させるのも肝臓の仕事です。
肝臓が元気であれば有害物質の毒素を弱め、水に溶けやすいかたちにして体外に排出させますが、肝臓が弱り解毒力や老廃物の処理能力が衰えると体内には有害物質が増え、免疫力の低下や腸内環境の悪化が起こる要因となります。

思いたくないはかもしれませんが、アルコールは身体にとって有害物質です。
飲酒により体内に入ったアルコールは肝臓のアルコール脱水素酵素(ADH)によって分解されて、アセトアルデヒドになります。
アセトアルデヒドはアルコールよりも毒性の強い物質です。
二日酔いや頭痛が起こる原因物質とされています。

アセトアルデヒドが体内にあらわれたときに対応するのがアセトアルデヒド脱水素酵素です。
この働きによって、素早く酢酸や水、二酸化炭素に分解されて体外に排出させます。
飲み過ぎたときに二日酔いとして残るのは肝臓の解毒作用が追いつかず、アセトアルデヒドが残っていることで起こります。

肝臓の解毒作用が追いつかないというのはお酒の量や飲む速さ、そして肝臓そのものの機能が衰えればアセトアルデヒドは残るのです。

アセドアルデヒド脱水素酵素は6種類ありますが、そのうちの2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)というものがお酒に強いか弱いかを決めるということです。
ALDH2の遺伝子にはアルコール分解能力の高いN型、能力が低下したD型の2種類が存在することがわかっています。
2種の組み合わせによって変わりますが、日本人の約4割はお酒に強くない遺伝子のタイプを持つといわれます。

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▼胆汁の分泌による脂肪の消化

 

肝臓に肝細胞では、1日に600~1000mlの胆汁という消化液がつくられています。
胆汁は食べたものに含まれる脂肪を消化、吸収するときに活躍します。
食事でとったものが十二指腸まで運ばれると胆汁が分泌されます。
胆汁の主成分は胆汁酸と胆汁色素のビルリビンというもので、胆汁に消化酵素は含まれていませんが、胆汁酸が小腸で脂質を乳化して、消化酵素の働きをサポートしています。
また、不要物を排出する働きがあります。
血液中の不要な物質で水に溶けるものは尿として排出されますが、水に溶けない脂溶性の物質は肝臓で胆汁というかたちにして腸に送り、便として体外に排出されます。
便の色は胆汁色素のビリルビンの色です。
肝臓の調子が悪くなると便の色が白っぽくなります。

肝臓の機能低下で胆汁の分泌が悪くなり、食欲不振などを生じることがあります。
運動するための栄養をとるといったことではマイナス要素です。
アルコール摂取に注意することは肝臓を弱らせないようにして、食事と運動を生かすことにもなります。

 

●肝臓とアルコール

 

お酒を飲み過ぎることで様々な病気を発症、肝臓で起こるものがアルコール性肝障害です。
アルコール性脂肪肝、アルコール性肝線維症、アルコール性肝炎、アルコール性肝硬変などがあります。
これだけでも肝臓とアルコールの関係がわかります。

アルコール性脂肪肝はアルコール摂取により中性脂肪が肝臓に蓄積した状態です。
アセドアルデヒドや肝臓に蓄積した中性脂肪が原因で、肝細胞の周囲が線維化するものがアルコール性線維症です。
普段からお酒を飲む習慣がある人が、大量に飲酒を続けて急激に肝細胞が壊れて起こるのがアルコール性肝炎です。
また、肝炎ウィルスに感染している人が飲酒することでアルコール性肝炎になることも少なくないとされます。
アルコール性肝硬変は名称の通り肝細胞がカタくなる症状です。
肝臓はもともと柔らかい臓器ですが、アルコールの影響で肝細胞の破壊と再生を繰り返すうちに肝細胞の周囲の線維化が進み肝臓がカタくなり、機能低下が起こります。

肝臓は神経が通っていないため、不具合が起こっても痛みなどの自覚症状が現れにくい臓器です。
肝臓の病気で現れる自覚症状は身体のだるさ、食欲がない、むくみがあるなどで、気にしすぎることはないものです。
また、病気などで一部を切除しても再生するという、優れた能力があります。
しかし、過度なアルコール摂取や運動不足、生活習慣によりその機能は低下するといいます。

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●休肝日はなくてもよいという考え方

 

休肝日というお酒を飲まない日をつくるということが肝臓のためといわれますが、考え方により不要となることがあります。
それは1週間単位でアルコール摂取量を管理するということです。
厚生労働省では1日の純アルコール量を20g、許容量ということでは40gという基準値を出しています。
1日あたり20~40g、1週間であれば140~280gということになります。
もともと飲み会の予定があるのであればそれを見越して控えめにする日をつくり調整をしていけば許容値内に収めることも可能です。
だからといって無理をして毎日飲むこともありません。
休肝日があるからそれ以外の日にアルコール量が過剰になっているということがないように注意しましょう。

 

●まとめ

 

年末近くなるこの時期、アルコール摂取が増えたり遅くまで飲食が続いてしまったりするスケジュールが続いてしまう方もいるのかもしれません。
肝臓だけでなく、生活習慣の乱れで体調不良、身体はダメージを受けることになります。
どれくらい飲んだ、睡眠時間がしっかりとれているかなどを日々振り返りながら身体に過剰な負担がない2024年を過ごしましょう。

・肝臓の役割は代謝、解毒、胆汁の生産。
・アルコールにより肝臓の疾患が増加する。
・若年層から肝機能には注意が必要。

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ストレッチ専門店ストレチックス
https://stretchex.jp/

本部著書&公式ブログ 監修・執筆

本部研修トレーナー 渡辺 久進

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