
このブログでは、ストレチックス本部著書「70歳からのゆる~い筋トレ&ストレッチ」執筆者が、本で書いたことの要点や、書ききれなかったことを、お伝えしていきます。
今回のテーマは「肩を支えるインナーマッスル」です。
●肩関節を動かす筋肉
肩関節は人が持つ関節の中では自由度が高い関節です。
日常で自然に動かしていることですが、高いところのものをとる、シャツの袖に腕を通す、ゴルフのスイングをするなど肩関節をさまざまな方向や角度に使っています。
もし肩関節の自由度が制限されていればこのような動作は難しくなっていくものもあります。
肩関節の動きに関与する筋肉は、大胸筋、広背筋、三角筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋など、肩を覆うようについているものが目立ちます。
鍛えてあれば上半身のボリュームのあるしっかりとした体型にもなります。

肩関節は肩甲骨と上腕骨で構成されている関節です。
実際、日常生活やスポーツで動くのは肩関節単体だけでなく、肩甲骨につながる鎖骨、肩甲骨が乗っている肋骨、肋骨につながる背骨の胸椎といった部分も動くことで様々な動作が可能になっています。
先ほどあげた筋肉は肩甲骨と上腕骨、鎖骨と上腕骨というように肩関節を跨いで付着している筋肉なので、それらが働くことでそれぞれの骨が動かされて関節の動きとしてあらわれています。
そしてこれらの筋肉は関節を広く、大きく動かすことが得意です。
それは筋肉の端と端、専門用語では「起始」と「停止」という部分の距離が離れていることが大きい距離と動きを扱うことができるからです。
大胸筋であれば、鎖骨、胸の中央の胸骨、肋骨やお腹の部分から起始を持ち、上腕骨に停止を持ちます。
広背筋は骨盤、背骨の腰椎、胸椎から起始を持ち、上腕骨に停止を持ちます。
距離が長ければ筋肉のサイズも大きくなり、筋力も大きくなりますが、付着部が遠いところ同士が動くことで、関節の動きも大きな幅になります。
強い筋力の発揮ができることは必要であり、大胸筋や広背筋が悪者になることもありません。
肩関節の動きの特徴でいえば、身体の表層にある「アウターマッスル」といわれる筋肉の動きの影響で起こりやすいこととが、関節の安定性の不足です。
●インナーマッスルの役割
「アウターマッスル」は他にも「グローバルマッスル」、「表層筋」とも呼ばれる身体で目立つような筋肉です。
それに対し、表層で目立つ筋肉の内側にある深層にあるものがあります。
これらは「インナーマッスル」、「ローカルマッスル」、「深層筋」と呼ばれており、肩関節を動かす筋肉にもそのようなものがあります。
・棘上筋(きょくじょうきん)
・棘下筋(きょっかきん)
・小円筋(しょうえんきん)
・肩甲下筋(けんこうかきん)

この4つの筋肉のことをまとめて「ローテーターカフ」、または「回旋筋腱板」という呼び方をします。
スポーツの記事などで、野球選手が「腱板を傷めた」、「腱板損傷」といったことを見聞きしたことがあるかもしれません。
それがこの肩関節のインナーマッスルのことを指していることと思います。
(その後の検査で違った、肩の他の組織のケガだったということもあるかもしれませんが。)
肩の関節の動きは前後、上下、回旋という動きに分類されます。
日常生活やスポーツではその動きの幅、角度、高さによってこれらが組み合わされて腕がうごいています。
例えば上着を着るときには腕を外側に広げて前後に動かし袖を通すといった動きですが、これも肩関節が立体的に動くことで行えます。
また、肩甲骨の動きや背骨の動きも肩の動きに関連します。

・棘上筋
肩関節の外転・外旋に働きます。
・棘下筋
肩関節の外旋に働きます。
幅が広い筋肉なので腕の高さによって機能する部分が変わってきます。
・小円筋
肩関節の外旋に働きます。
・肩甲下筋
肩関節の内旋に働きます。
内旋は内側に巻くように動きますが、肩甲下筋がしっかり働いていないことで大きな筋肉に前側に引っ張られるようになり「巻き肩」といわれるような状態に影響します。
肩のインナーマッスルの大きな役割は関節を安定させることです。
外側のアウターマッスルは大きな関節運動が得意でしたが、インナーマッスルはその大きな動きで関節が振り回されないように制御するように働いています。
肩関節は肩甲骨と上腕骨の組み合わせですが、肩甲骨には肩甲窩(けんこうか)と呼ばれる受け皿があります。
その受け皿に上腕骨の骨頭が接しています。
そして小さなお皿に対し、大きなボールが乗っているといったサイズのバランスとしてはアンバランスといえるような構造をしています。
このようなことから、筋肉の長さがあり、大きな動きをするアウターマッスルが強く働くと小さなお皿から大きなボールが転がり落ちるようになり、それが肩関節を不安定にするといったことが起こります。
そのため、ボールが転がり落ちないようにお皿に上に固定するための役割をするのがインナーマッスルです。

例えば、肩をグルグルと回したときに安定していなければ上腕骨の骨頭がお皿である肩甲窩から落ちてしまうことになります。
実際に落ちてしまえば脱臼ですが、外れなくてもお皿の中央から少しずれて動くということです。
そこでインナーマッスルは、上腕骨の骨頭を肩甲窩に引き寄せておき、アウターマッスルによって大きな動きをしても中央から逃げないようにする「求心性」の力を働かせます。
大きな動作に対して、小さくコンパクトに肩関節が動けるようにしているのです。
上腕骨が肩甲窩の中央からずれるとしましたが、これは関節を動かす軸、中心から逸脱しているということです。
肩関節は回旋、回転する動きをしますが回るためには中心の位置が安定していることで円がきれいに動くことができます。
例えば腕を上に持ち上げたときに上がりにくいとなった際、筋肉が伸びにくいことで動きが小さくなる場合があります。
伸びにくいことで腕が上がりにくいのであればストレッチで柔軟性をあげることで動く範囲が広がります。
しかし、伸ばそうと思っても引っかかるような感じ、腕を上げる途中で痛みが出るといったときには、腕を動かす過程で関節の中心がとれていないということがあります。
このようなときは中心を保つためのインナーマッスルが働きにくくなり、アウターマッスルの筋力が優位に働いていることが一つの要因として考えることができます。
肩関節をつくる上腕骨の骨頭は丸いかたちなのでその周囲を取り囲むように筋肉や様々な組織がついています。
そのため上側、下側、斜め前側などいろいろな方向からの影響を受けます。
腕を上げたときに上の部分が痛いからそこが悪いというだけでなく、下の部分がカタくなっていることで上側に影響するなど、取り囲む部分によって不具合が変わってきます。

●四十肩・五十肩とインナーマッスル
年齢が40代、50代になると起こりやすくなるためにこのように呼ばれますが、「肩関節周囲炎」という症状名があります。
「突然、肩が痛くなって腕があがらなくなった」というようなイメージがあると思いますが、上がらないだけでなく「後ろに回すときに痛い」「真っすぐあげるときは痛くない、斜め上にあげると痛い」というように個人差がとても多いものです。
肩関節の周囲で起こるものであり、痛む方向も様々なので、必ず○○筋が悪いといった限定的なものではないと思います。
もちろん痛みが強く何か起こっていると感じるときは専門医の診断、指示を仰ぎましょう。
それが四十肩、五十肩であれば改善できるように日々に肩の使い方などの注意も必要になると思います。
そして何より症状が起こらないようにしたいものです。
起こる原因の1つは筋肉の不活動、つまり動かしていなかった、使っていなかったということです。
毎日肩こりで肩を使っていると思われるかもしれませんが、インナーマッスルの活動量はあまり多くはありません。
1日の中で腕を肩よりも高くあげるといったことはどれくらいあるでしょうか?
何か重さがかかって、肩がグラグラしないように気をつけようと働かせることもなかなか少ないものと思います。
四十肩、五十肩になって初めてこの方向に動かない、肩を動かしていなかったことに気がつくこともあると思います。
そうなる前に、もともと動く仕組みを持っている肩関節を維持できるようにしていきましょう。
●まとめ
インナーマッスルという目立たない部分ですが、その役割は非常に重要です。
スポーツなどで酷使して怪我につながることも、使わずに痛みにつながることも悲しいものです。
加齢により傷んでくるものではありますが、動きが悪くなってきたから気をつけようと、早めに気づけるようにストレッチやトレーニングも使ってみてください。
・肩関節を動かす筋肉はアウターマッスルとインナーマッスルがある。
・インナーマッスルは肩関節を安定させることに機能する。
・インナーマッスルが衰えないようすることで不具合の予防になる。
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ストレッチ専門店ストレチックス
https://stretchex.jp/
本部著書&公式ブログ 監修・執筆
本部研修トレーナー 渡辺 久進
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